2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16340059
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
粟木 久光 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (30252414)
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Keywords | X線望遠鏡 / 鏡基板 / マグネシウム合金 / プレス加工 |
Research Abstract |
本研究では、高角度分解能大型望遠鏡を目指した精密望遠鏡基板の開発を行っている。この研究の中で本年度は以下の項目を研究計画としてあげた。 (1)ハウジングの製作(真円からのズレ5μm以下で基板を保持) (2)レプリカの実施 前年度作成した望遠鏡ハウジングでは、内部応力のために加工後の形状の歪みが目視にて確認されていた。この歪みを軽減するために、ハウジング材質を内部応力の少ないものに変え、歪みがほとんど生じないものを製作した。これに、望遠鏡基板を挿入し、基板内側の真円度を測定したところ、真円からのズレ5μm弱で基板を保持することができた。 基板表面の平滑化を行なうために、4月と9〜10月の2回、名古屋大学にてレプリカ法を試した(1回目の結果を国際会議にて口頭発表)。2回目のレプリカでは、最適条件の調査を目的に、エポキシ接着剤の厚みを40,50,60,70μmと変化させ、計4種類のレプリカ基板を作った。50μmのものが最も形状精度が高く、形状誤差は母線方向で±1μm(放物面側)、±4μm(放物面側)であった。 レプリカ後の基板をハウジングに入れ、宇宙科学研究本部のX線ビームラインにて、結像性能評価試験を行った。その結果、光量が全体の半分になる直径(Half power diameter)は約400秒角であった。この大きなHPDは、ガラスマンドレルで見られる加工痕(周期長1mm,振幅0.5μm(p-p値))がレプリカにより鏡基板に転写したためであり、その加工痕から予想される値とほぼ一致していた。(日本天文学会春季年会にて報告)。この加工痕を小さくした場合のHPDの予想値は40-60秒角である。 2段1体型基板へのレプリカは世界でもあまり例がなく、今後経験を積み、マンドレルの加工精度、レプリカ技術を向上させることで、本研究目標である20秒角は十分達成可能である。
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Research Products
(2 results)