2006 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙におけるミッシングバリオンの観測をめざしたマイクロカロリメータアレイの開発
Project/Area Number |
16340077
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
石崎 欣尚 首都大学東京, 大学院理工学研究科, 助手 (10285091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 隆哉 首都大学東京, 大学院理工学研究科, 教授 (70183027)
満田 和久 宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 教授 (80183961)
藤本 龍一 金沢大学, 理学部, 助教授 (20280555)
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Keywords | X線 / マイクロカロリーメータ / 超伝導遷移端検出器 / 断熱消磁冷凍機 / ミッシングバリオン / 中高温銀河間物質 |
Research Abstract |
エネルギー分解能2eV,16×16ピクセルのTES (Transition Edge Sensor)型カロリメータシステムの実現へ向けて、(1)カロリメータ素子の性能評価と製作へのフィードバック、(2)256ピクセル信号読み出し部の動作検証、(3)小型衛星用の断熱消磁冷凍機とのインターフェイス検討、の3段階を順次すすめた。これらの実験結果や設計検討の結果に関しては、宇宙の中高温銀河間物質(WHIM=Warm Hot Intergalactic Medium)を酸素の輝線(OVII, OVIII)を用いてマッピングする小型衛星ミッションであるDIOS (Diffuse Intergalactic Oxygen Surveyor)計画の提案書としてまとめられたほか、SPIE国際会議において発表された。検出器の性能を向上させるために首都大学で成膜した超伝導薄膜を用いてin-houseでの素子製作を行い、5.9keVのX線について4.8eV(E/ΔE=1200)という国内新記録(注.それまでの日本記録も我々の測定による6.3eV。世界記録は、NISTのグループのもっ2.4eV)を更新した。256ピクセルの信号の読み出し部については、TESカロリメータ用に最適化をした8入力SQUID(超伝導量子干渉素子)によるカロリメータ信号の読出しに成功したほか、室温部の超低雑音アンプの開発も進行中である。また、スズ箔を接着してガンマ線領域にも感度を持たせた素子の製作も行い、60keVにおいて40eVという世界最高レベルの分解能を実現、さらに高エネルギー研究所に持ち込んでNaClの標準粉末結晶の回折光のスペクトルの取得に成功した。この実験に応用してきた断熱消磁冷凍機は、オペレーションミスにより昨年度はじめに故障、ほぼ全ての真空部品を取り替えることで再立ち上げを行っている。3月には、断熱消磁冷凍機の心臓部にあたるクロムカリウムミョウバン(CPA)の磁性塩をテスト用に研究室で製作したものを、断熱消磁冷凍の経験を豊富にもつウィスコンシン大学のD.McCammon教授の研究室を訪問して、冷却性能の確認実験を行い、〜60mKまで正常に冷却が行えることを確認した。並行して、「すざく」衛星を用いた銀河団およびその周辺部の観測および研究を行っている。空間的に広がった天体の解析に必須となるX線望遠鏡とX線CCDカメラを組み合わせたレスポンス行列をモンテカルロ計算を用いておこなう標準解析ソフトウェアを開発、論文として発表した。
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Research Products
(6 results)