2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16340083
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
板橋 健太 独立行政法人理化学研究所, 岩崎先端中間子研究室, 研究員 (30322093)
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Keywords | π中間子 / 強い相互作用 / 分光実験 / エキゾチック原子 |
Research Abstract |
表題の通りπ中間子原子の高精度分光実験を目指し、実験の準備を行った。 当初の予定通りドイツ重イオン研究所(GSI)での実験を視野にいれ、新たに開発した検出器の基本的な性能を確認すると共に、理化学研究所に新設される実験施設であるRIビームファクトリー計画(RIBF)においての高精度分光実験の可能性を検討した。これは、GSIでの施設建設が当初の予定よりも遅れ2012年以降になることが分かったためでもあるが、RIBFを用いると従来に比べて倍近く精度を改善する可能性のあることがわかったこともある。 RIBFでの実験計画とGSIでの計画は、前者がπ中間子と原子核の強い相互作用の精密測定、後者が強い相互作用を用いて不安定核の密度分布を測定することを目指しており、相補的な関係を目指す。 RIBFでは、GSIに比べて10倍を超える強度のビームの供給が予定されており、薄い標的を用いても統計精度の低下を避けることが出来る。そのため、従来の400keV(FWHM)の分解能が200keVまで改善する可能性がある。 さらに、RIBFの破砕核分離装置として設計されるBigRIPS装置の光学系を工夫することで、入射ビームの運動量分布が、分光実験の分解能に計上されない設定が完成した場合150keVの分解能を達成する。 現在、RIBFの実験課題助言委員会(PAC)により、上記の実験条件を策定するためのビームタイムについての推薦を得ることができ、この準備から開始し、2008年中に実験を行う予定である。
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