2005 Fiscal Year Annual Research Report
結晶表面を利用して作製した低次元金属の電子状態とフォノン物性
Project/Area Number |
16340090
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
有賀 哲也 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70184299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 弘 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60312253)
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Keywords | 表面 / 相転移 / パイエルス転移 / 電荷密度波 / 臨界散乱 / イジング模型 |
Research Abstract |
本研究では,一粒子スペクトル関数を直接得ることのできる実験手法である角度分解光電子分光と,表面フォノンの分散関係の測定が可能な超高分解能振動分光法により,結晶表面に形成された低次元金属の物性研究を進めることを目的としている。低次元金属においては,電子-電子,電子-フォノンなどの相互作用の影響が顕著に現れ,密度波,超伝導などの興味深い現象が起こる。本年度は,興味深い低次元金属のFermi面近傍電子状態の測定および物質探索を進めるとともに、X線臨界散乱の測定や測定装置の改良を行った。 装置整備としては,極低温用試料マニピュレータの開発を前年度に引き続き進めた。これは,超高真空下において試料を極低温まで冷却可能であり,同時に精密な2軸回転と3軸並進が可能なものである。 In/Cu(001)におけるX線臨界散乱の測定を行い、2次元イジング模型によく合う臨界指数を得た。このことと、昨年度の研究でえられた電荷密度波ギャップの温度依存性に基づき、相転移の微視的機構を解明した。従来の強結合理論では、非常に短い電荷密度波相関長が仮定されていたため、格子の秩序-無秩序相転移と電子系の絶縁体-金属転移が非常に近い温度でおこることを説明できない。本研究では、この表面のように長い電荷密度波相関長を有する系においては、強結合的な電荷密度波相転移に伴って格子の相関長が短縮すると直ちに電荷密度波相関長と同程度になってしまうため、これにより電荷密度波の破壊が起こり、電子状態が金属的に変化することを示した。 また,T1/Ge(111)表面の電子状態の精密測定を行い,1次元金属相および2次元金属相のバンド構造を明らかにすることができた。そのほか、ビスマス単原子層、水1次元鎖などの物質探索を行った。
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Research Products
(5 results)