2006 Fiscal Year Annual Research Report
結晶表面を利用して作製した低次元金属の電子状態とフォノン物性
Project/Area Number |
16340090
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
有賀 哲也 京都大学, 大学院理学研究科, 教授 (70184299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 弘 京都大学, 大学院理学研究科, 助教授 (60312253)
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Keywords | 低次元金属 / 表面 / 角度分解光電子分光 / 電荷密度波 / 相転移 |
Research Abstract |
低次元金属においては、電子-電子、電子-フォノンなどの相互作用の効果が顕著にあらわれ、密度波、超伝導、朝永-ラッティンジャー液体などの興味深い現象が起こる。本研究では、固体表面を利用して作製した1次元および2次元金属を対象として、その電子系と格子系の相互作用に由来する新奇な現象を実験的に研究するこどを目的とした。 本研究で注目したのは、Cu(001)表面上にIn単原子層を吸着させた系で起こるバイエルス転移である。表面におけるバイエルス転移はいくつかの系で知られているが、いずれも典型的な強結合型であった。これに対してIn/Cu(001)系の転移は、構造相転移とほぼ同じ温度領域においてバンド構造が絶縁体-金属転移を示すという特徴がある。このため、弱結合型に近い性質を有する可能性があると考え、電子状態について角度分解光電子分光、格子系の振る舞いについて表面X線回折により検討してきた。 本年度は最終年度であり、これまでの研究のまとめとして、相転移の様相についての総合的な検討を行った。この相転移はこれまで知られていたものとは異なり、格子の秩序-無秩序転移が引き金となり、格子の相関長の減少とともに電荷密度波の波束が破壊されることにより、絶縁体一金属転移が誘起されるものと結論した。 今年度得られた新たな知見について雑誌論文として発表したほか、本研究全体の主要な結果を総説(英文)として発表した。
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Research Products
(3 results)