2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16340105
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
和田 信二 神戸大学, 理学部, 教授 (00031360)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水戸 毅 神戸大学, 理学部, 助手 (70335420)
播磨 尚朝 神戸大学, 理学部, 教授 (50211496)
|
Keywords | 強相関電子物性 / 量子多電子状態 / 量子臨界点 / 非フェルミ液体 / Yb化合物 / NMR |
Research Abstract |
反強磁性Yb化合物の磁場印加による量子臨界点へのチューニングと,電子および磁気状態の解明 (1)重い電子化合物YbAuCu_4が磁場印加により,反強磁性基底状態から磁場誘起の量子臨界点(at 1.3kOe)を経て非磁性フェルミ液体の基底状態に転移することを発見するとともに,その過程での低エネルギー磁気ゆらぎの変化を明らかにした。また特筆すべきは,その臨界磁場及び量子臨界性が現れる温度エネルギーが従来YbRh_2Si_2で知られていた値より一桁以上高いことにある。 (2)重い電子系の充填スクッテルダイト化合物YbFe_4P_<12>は1kOe以下の低磁場下に量子臨界点をもち,10K以下というかなり高温から非フェルミ液体的振る舞いを示すことを明らかにした。 非磁性Yb化合物の量子臨界点近傍の物性研究 (1)重い電子化合物YbCu_5の圧力印加による量子臨界点が5GPa近傍であることを示すとともに,電子の局在性の増大を2.5GPaの圧力下までNMR測定により微視的に調べた。 (2)重い電子化合物YbCu_2Si_2の低エネルギー磁気励起に対する磁場効果をNMR測定によって調べ,10K以下のフェルミ液体状態において,低磁場下で電子相関が増大することを見出した。 (3)重い電子系の充填スクッテルダイト化合物YbFe_4Sb_<12>は,10K以下で弱い反強ゆらぎを持つフェルミ液体状態に転移すること,また,30K近傍にラットリングに起因すると考えられる緩和の異常を示すことなどを明らかにした。 また,これらの系では共通してYbイオンが混合価数状態にあり,高温の価数遥動状態から低温の中間価数状態へのクロスオーバー転移がそれぞれの特異な物性に大きな役割を果たしていることを指摘している。これらの研究成果は逐次,関連研究分野の国際会議や国内の物理学会,研究会で講演発表するとともに,原著論文として国際雑誌に掲載されている。
|
Research Products
(7 results)