2007 Fiscal Year Annual Research Report
磁場誘起超伝導を示す2次元有機導体の多周波ESR分光による超伝導ギャップの観測
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16340106
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
太田 仁 Kobe University, 自然科学系先端融合研究環分子フォトサイエンス研究センター, 教授 (70194173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 晋 神戸大学, 自然科学系先端融合研究環分子フォトサイエンス研究センター, 助教 (80283901)
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Keywords | 有機導体 / 磁場誘起超伝導 / ESR分光 / 強磁場 / 超伝導ギャップ / 国際研究者交流 / アメリカ |
Research Abstract |
引き続き磁場誘起超伝導体λ-(BETS)_2FeCl_4の磁気光学測定を,東北大学金属材料研究所強磁場超伝導材料研究センターの15 Tまたは18 T超伝導磁石,ベクターネットワークアナライザーおよび独自に開発した回転型共振器を用いておこなう計画であったが,ベクタネットワークアナライザーが故障し,現在も復旧していない状況にあるため測定がおこなえなかった。また,米国フロリダの強磁場研究所の33T水冷磁石と後進後波管(BWO)を用いた磁気光学測定も計画し,マシンタイムを申請したが,電源の改修等があり,運転時間が少なく申請が採択されなかった。しかし,最終年度であるので,これまでのデータをもとに測定結果の検討をおこなった。2006年度のフロリダにおける測定では,8T以上の磁場で透過度が大きく減少し,S/Nの範囲内で,磁場誘起超伝導状態と予想される20T以上で有意な変化は観測されなかった。しかし,このような有機導体の超伝導がクリーンリミット(超伝導のコヒーレンス長:ξ<平均自由行程1)にある場合,Drude反射のすそが超伝導ギャップよりエネルギーが小さいため,透過強度の超伝導状態と金属状態の差が小さく,周波数依存性から超伝導ギャップの大きさを明らかにすることが困難である可能性が検討の結果明らかとなってきた。一方,高周波数領域において観測された8T付近の透過度が増大するような非常に特異な周波数依存性は,非常に興味深いがその原因が未開であるため,2008年夏にタリンで開催される強磁場の国際シンポで発表し,議論することを計画している。 さらに,圧力下で超伝導をしめす関連有機導体EtMe_3P[Pd(dmit)_2]_2の強磁場ESR測定をおこない,周波数依存性からスピンギャップの大きさを明らかにすることを試みた。
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Research Products
(3 results)