2005 Fiscal Year Annual Research Report
銅酸化物高温超伝導体における電子の自己組織化と輸送現象
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16340112
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Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
Principal Investigator |
安藤 陽一 (財)電力中央研究所, 材料科学研究所, 上席研究員 (90371286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小宮 世紀 (財)電力中央研究所, 材料科学研究所, 主任研究員 (80371293)
瀬川 耕司 (財)電力中央研究所, 材料科学研究所, 主任研究員 (20371297)
小野 新平 (財)電力中央研究所, 材料科学研究所, 主任研究員 (30371298)
孫 学峰 (財)電力中央研究所, 材料科学研究所, 特別契約研究員 (60415883)
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Keywords | 銅酸化物高温超伝導体 / 自己組織化 / 輸送特性 / 熱伝導率 / ホール係数 / 擬ギャップ / 電荷ストライプ |
Research Abstract |
銅酸化物高温超伝導体中では電子が強い相関を持つために、電荷ストライプの形成など「電子の自己組織化」と考えられる現象が起こることが近年わかってきた。この自己組織化現象に伴って観測される物性の異常を理解するための理論として「電子液晶モデル」や「チェッカーボード秩序モデル」などが提唱されている。また非超伝導状態において存在する擬ギャップやスピン秩序が、電子の自己組織化とどう関わっているのかも重要な問題である。そこで本年度は、これらの問題に関する研究を行い、以下の主要な成果を挙げた。 1.YBa_2CU_3O_y系、La_<2-x>Sr_xCuO_4系、Bi_2Sr_2CaCU_xO_<8+δ>系において極低温での熱伝導率測定を行い、Zn不純物によって超伝導ギャップの不均一性が生じると、d波のBCS超伝導体で期待される「ユニバーサル熱伝導率」が観測されなくなることを明らかにした。 2.非超伝導領域にあるYBa_2CU_3O_y単結晶の極低温での熱伝導率測定を行い、電子が自己組織化している非超伝導状態は本質的に絶縁体であること、その状態では抵抗率が特徴的なlog(1/T)の温度依存性を示すことを明らかにした。 3.Pr_<2-x>LaCe_xCuO_4系単結晶における磁場中・極低温での熱伝導率測定によって、この物質における大きな熱磁気効果を発見した。さらに比熱と帯磁率の測定から、この新現象が特異なスピン-格子結合に由来することを明らかにした。 4.電子の自己組織化によってできた秩序が高温で融解する様子を明らかにするために、La_<2-x>Sr_xCuO_4単結晶におけるホール係数を1000Kまで測定し、高温でのホール係数の温度依存性からキャリアの活性化エネルギーを求められることを明らかにした。
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Research Products
(5 results)