2007 Fiscal Year Annual Research Report
銅酸化物高温超伝導体における電子の自己組織化と輸送現象
Project/Area Number |
16340112
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安藤 陽一 Osaka University, 産業科学研究所, 教授 (90371286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小宮 世紀 (財)電力中央研究所, 材料科学研究所, 主任研究員 (80371293)
瀬川 耕司 (財)電力中央研究所, 材料科学研究所, 主任研究員 (20371297)
小野 新平 (財)電力中央研究所, 材料科学研究所, 主任研究員 (30371298)
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Keywords | 銅酸化物高温超伝導体 / 自己組織化 / 輸送特性 / 高品質単結晶 / 擬ギャップ / 磁場誘起絶縁体状態 / フェルミアーク |
Research Abstract |
銅酸化物高温超伝導体中では電子が強い相関を持つために、電荷ストライプの形成など「電子の自己組織化」と考えられる現象が起こることがわかってきた。さらにこの電子の自己組織化現象が、不足ドープ領域での特異な絶縁体状態や超伝導ギャップの不均一性など、銅酸化物に特有の電子状態を生じさせる上で鍵を握っているらしいこともわかってきた。そこで本研究では、銅酸化物における電子の自己組織化現象の様々な側面を明らかにすることを目的として、高品質単結晶試料を用いた実験を行った。本年度は研究代表者の安藤が電力中央研究所から大阪大学産業科学研究所に異動したのに伴い、昨年度まで使用していた電力中央研究所の設備の一部とこれまでに本課題の経費で購入した設備を大阪大学へ移設し、大阪大学における研究体制を整えた。これと並行して、電力中央研究所の研究分担者による単結晶成長実験は引き続き行い、国内外の研究協力者との共同研究によって電子の自己組織化現象を多角的に調べた。本年度の主な成果としては、以下のものが挙げられる。 ●不足ドープ領域の銅酸化物における特徴的な電子状態である「フェルミアーク」と輸送現象の関係を定量的に調べ、電子の自己組織化が果たしている役割について考察した。 ●強磁場で超伝導を壊したときに現れる絶縁体状態は電子の自己組織化が原因と考えられるが、この現象が起こるキャリア濃度領域において、磁場をかけたときにできる量子化磁束の中でスピングラス状態が実現していることをミューオン・スピン緩和の実験によって明らかにした。
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Research Products
(6 results)