2005 Fiscal Year Annual Research Report
放射光を利用した超臨界金属流体の結合性、ゆらぎとダイナミクス研究
Project/Area Number |
16340114
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
乾 雅祝 広島大学, 総合科学部, 助教授 (40213136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 公三 広島大学, 総合科学部, 教授 (30134951)
梶原 行夫 広島大学, 総合科学部, 助手 (20402654)
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Keywords | 液体金属 / 静的構造 / 動的構造 / 非弾性X線散乱 / X線小角散乱 / X線回折 / 液体半導体 / 超臨界流体 |
Research Abstract |
半導体的性質を有する液体セレンの電気伝導度は温度圧力の増加に伴い上昇し、高温高圧下の超臨界領域に金属的な性質を示す流体セレンが出現する。さらに温度を上げて体積を膨張させると、金属的な流体セレンは絶縁体気体に転移する。我々は、高温高圧下の超臨界流体セレンの動的構造を調べるため、高分解能非弾性X線散乱実験をSPring-8の放射光を用いて行った。昨年度行った液体セレンの高分解能非弾性X線散乱実験の結果、500℃における運動量ゼロ付近の分散は1500ms^<-1>の音速の傾きにほぼ一致し、超音波で測定された音速880ms^<-1>と比べてかなり速いことが明らかになっている。今年度は60MPaの高圧下で、常圧の沸点を超える800℃、1200℃、1400℃、1500℃の半導体-金属転移領域、さらに1600℃、50MPa、1650℃、45MPaと1650℃、40MPaの絶縁体流体領域の動的構造因子を得た。運動量ゼロ付近の動的構造因子から縦音波モードの励起エネルギーの分散を求めた結果、500℃から温度が上昇しても分散の傾きは余り変化せず、超音波で測定された音速に比べると、動的構造因子の示す音速は、1200℃から1400℃の半導体-金属転移領域において、約2倍速いことが明らかになった。しかし1500℃では運動量ゼロ付近の動的構造因子の幅が狭くなり、動的音速が減速しはじめる。さらに1600℃、50MPaの金属から絶縁体に転移する領域の動的音速は、1650℃、40MPaの2原子分子気体の動的音速同様、超音波で測定された音速に非常に近い値になることが明らかになった。これらの結果は動的音速が電子的性質と相関していることを暗示している。
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Research Products
(6 results)