2006 Fiscal Year Annual Research Report
放射光を利用した超臨界金属流体の結合性、ゆらぎとダイナミクス研究
Project/Area Number |
16340114
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
乾 雅祝 広島大学, 大学院総合科学研究部, 助教授 (40213136)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 公三 広島大学, 大学院総合科学研究部, 教授 (30134951)
梶原 行夫 広島大学, 大学院総合科学研究部, 助手 (20402654)
|
Keywords | 液体金属 / 局所構造 / 動的構造 / 非弾性X線散乱 / X線小角散乱 / X線回折 / 液体半導体 / 超臨界流体 |
Research Abstract |
本年度は、これまで集中的に研究を行ってきた超臨界流体セレンに加えて、放射光を利用した超臨界金属流体の結合性、ゆらぎとダイナミクス研究をさらに進める目的で、以下のような物質を対象に研究を実施した。得られた成果の一部は国際学会で公表した。 (1)流体セレン(Se)の中・長距離構造と動的構造 鎖状高分子からなる液体セレンは、温度の上昇に伴い鎖が切断・分岐し、高温高圧下の超臨界領域で半導体-金属転移を起こす。半導体-金属転移領域では、非弾性X線散乱で得られた動的音速が超音波で測定される断熱音速よりも2倍以上大きいことを見出したが、さらに小角散乱強度の増大も観測された。これらの結果は半導体-金属転移領域に出現する特徴的なゆらぎを反映していると考えられる。X線小角散乱実験の成果は、京都で開催された小角散乱国際学会で発表した。 (2)液体3セレン化2ヒ素(As_2Se_3)のX線回折実験とX線小角散乱実験 2配位のSeに3配位のAsを添加すると鎖が架橋されたネットワークが形成されると考えられる。この系も高温高圧下で半導体-金属転移を起こす。放射光を用いてX線回折実験を行い、得られた局所構造に関する知見をプラハで開催された非晶質構造国際学会で発表した。一方、X線小角散乱実験の結果、半導体一金属転移領域で小角散乱強度の増大を見出した。しかしスペクトルの形状は、流体セレンとは異なるように見える。 (3)流体イオウ(S)のX線回折実験 流体セレンは高温高圧下で半導体-金属転移を起こすが、重合転移点以上の温度では鎖状構造を有する流体Sは電子状態の転移を起こさない。放射光を用いてX線回折実験を行い局所構造を詳細に調べた。その結果、高温高圧下では2原子分子間の相互作用が大きく、2原子分子を単位としたクラスターの存在を暗示する密度領域が存在することを見出した。
|
Research Products
(6 results)