2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16340116
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
清水 和子 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (30017446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 光夫 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (00114926)
森永 実 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 助手 (60230140)
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Keywords | 量子反射 / レーザー冷却 / 低速原子ビーム / 準安定状態ヘリウム / 磁気光学トラップ |
Research Abstract |
本研究の目的は、固体表面における原子の量子反射の研究である。初年度(平成16年度)は準安定状態ネオンビームを用いて実験を行い、平成17年度にヘリウムを用いる実験を行う予定であったが、ヘリウムトラップの準備が出来たため、低速準安定状態ヘリウム原子のシリコン表面における量子反射を次の2つの場合について測定した。(a)表面を回折格子状に加工した試料、(b)研磨した平面試料。 (1)ヘリウム準安定状態の磁気光学トラップ 放電により生成した準安定状態ヘリウム原子ビームを、ゼーマン同調法によりレーザー冷却し、磁気光学トラップに捕獲した。トラップレーザー波長は1083nmであり、CCDカメラや肉眼での観測は出来ない。トラップの生成は、マイクロチャンネルプレートを用いて確認するとともに、トラップ中の原子を、冷却遷移の上準位からさらに上の準位に可視光(588nm)により励起することによって、位置、サイズを確認した。トラップ原子数の測定は行っていないが、量子反射実験を行う為に必要な数はトラップできた。 (2)量子反射実験 (i)磁気光学トラップ中の原子に上方から共鳴光を照射して、速度をコントロールした原子ビームを生成した。 (ii)原子ビームの試料に対する法線方向速度を小さくするため、シリコン試料はトラップの下方に原子ビームに対してほぼ平行に配置した。 (iii)原子の反射位置をマイクロチャンネルプレートで検出し、必要な場合には多数回加算を行い反射率を求めた。原子の入射速度と、試料の傾きを変化させ、法線速度と反射率の関係を求めた。 (a)表面を回折格子状に加工した試料:5μmピッチ、幅100nmの畝状に加工した表面では、法線速度25cm/sec以下のビームで10%以上の高い反射率が得られた。この高い反射率は、原子波のフレネル回折として定量的に説明された。ネオン原子と比較して、同じ法線速度で2桁反射率が高いことが実証された。 (b)研磨した平面試料:測定データは、シリコン表面に厚さ100ほどの酸化膜がついていると仮定した場合、ファンデアワールスポテンシャルによる反射率の計算とよく一致した。
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Research Products
(2 results)