2005 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー冷却イオンの量子状態の計測・制御に関する研究
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16340118
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
占部 伸二 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (20304040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 歌子 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (20359087)
豊田 健二 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (20314403)
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Keywords | レーザー冷却 / イオントラップ / カルシウムイオン |
Research Abstract |
単一Caイオンのレーザー冷却においては小型のrfトラップ中に捕獲された1個のイオンのマイクロ運動の補正の最適化、冷却レーザーシステムの周波数ドリフトの改善などを行うことにより、昨年まで得られた冷却の到達温度の1.5mKから、ドップラー限界に近い640μK(振動量子数約n=4)までの到達温度が可能になった。ドップラー限界以下までの冷却が可能なサイドバンド冷却を行うためにはレーザー冷却プロセスにおいて基底状態(S_<1/2>)→準安定状態(D_<5/2>)→励起状態(P_<3/2>)→基底状態という閉じたサイクルを構成する必要がある。このためにドップラー冷却後にσ偏光のレーザー光を用いて基底状態のゼーマンサブレベルの一つに光ポンピングを行う必要がある。磁場方向の精密な補正、音響光学変調器の消光比の改善により99パーセント以上の光ポンピング効率が可能になった。さらに準安定状態から励起状態への脱励起レーザー光を導入することにより閉じたサイクルを構成し、基底状態から準安定状態への729nmにおける電気四重極遷移を用いたサイドバンド冷却の予備実験を行った。電気四重極遷移の運動サイドバンドのうちのレッドサイドバンドとブルーサイドバンドの高さの比を計測することにより振動基底状態に近い振動量子数約n=0.2まで冷却されていることを確認した。より低い量子数、良い再現性を実現するためには729nmレーザー光のより高い周波数安定度が必要であることが判明した。現在レーザーの周波数安定度の改善を進めている。複数個の冷却されたイオン配列の発生のために5つのセグメントに分割されたリニアトラップを開発し、2個あるいは3個のイオンのドップラー冷却を行った。3つの異なる方向から冷却レーザー光を照射して励起スペクトルを観測することにより3次元的なマイクロ運動の評価を行った。補正電極およびトラップ電極にDC電場を加え、励起スペクトルの形状を補正することによりマイクロ運動の最小化が可能になった。
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Research Products
(6 results)