Research Abstract |
最近,種々の構造探査により,縦波速度(Vp),横波速度(Vs),電気比抵抗(電気伝導度の逆数,以下比抵抗と略す),減衰を表わすQなどが同一断面上にマッピングされるようになってきた.それら観測可能なVp, Vs,比抵抗,Qなどから,どのような物質がどのような状態にあり,どのような破壊・摩擦特性をもっているのか推定できるようになることを目指した,実験的・理論的研究を推進する.そのためには,震源域に存在しそうな物質を用い,室内実験によりVp, Vs,比抵抗などと,破壊・摩擦特性を様々な条件下で同時測定することが必要である.同時測定が必要なのは,間隙の形状や連結性に依存する物性パラメターは,(特に高温で間隙水が存在する場合,化学反応が活発なので,)温度・圧力を与えても一意に定まるとは限らないからである.地震研に既設の実験装置によりVp, Vs, Q,破壊・摩擦特性の測定が可能なので,本研究課題では特に高温における比抵抗測定を重点的に進める. 高温高圧下で岩石の電気伝導度を測定する場合,金属ジャケットで岩石試料を覆うことになる.そのような状態で岩石試料の伝導度を求めるのに,金属ジャケットを主に流れてきた電流と試料中心部を流れてきた電流を分離し,それぞれガードリングとセンター電極で測定するガードリング法を用いる.H18年度に,センター電極で測定した見かけ抵抗から試料の真の電気伝導度を算出する係数を数値解から求めた.円柱形の岩石試料について,ラプラス方程式を満たすようベッセル関数を用いて電位を無限級数展開し,係数を適当な境界条件のもとに決定した.その結果,試料の長さが直径程度以上になると金属ジャケットを経由してかなりの電流が流れることがわかった.また,ガードリングに流れ込む電流とセンター電極に流れ込む電流を計算し,適切な配置を検討した.それらの結果に基づき,本年度は再設計し,ガードリングモジュールを製作した.
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