2004 Fiscal Year Annual Research Report
跡津川断層における地震性破壊反応流体のニアフィールド観測-破壊ラジカル反応の実証-
Project/Area Number |
16340128
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 秀実 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (40236625)
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Keywords | 跡津川断層 / 水素ガス / 地震 / モニタリング / 断層帯アーキテクチャ |
Research Abstract |
本年度は,跡津川断層トレースのクリープ領域の西側,微小地震多発地帯において,入念なサイト選定を行った.すなわち(1)航空写真判読による地形調査,(2)空中電磁気探査,(3)断層露頭踏査,および(4)断層周辺の水素ガス濃度調査である.これらの結果から,飛騨市三河原河川敷が最有力候補となり,さらに河川敷で高密度の水素ガス濃度調査を行い,最も濃度の高い位置で掘削を行った.掘削深度は200m,オールコア掘削とした.掘削回収されたコアから,ガス抽出を行い.現地に設置したガスクロマトグラフで定量を行った.掘削終了後にコアの断層岩記載を行い,跡津川断層帯の断層岩プロファイルを作成した.ガスと断層岩プロファイルを対比することにより,次の結果を得た. (1)履歴の古い断層帯であるので,岩相,構造とも複雑であったが,50-200m深度までで3つの断層コアが確認された.厚さは10〜20mであった.断層コアは滑り面の集合体となっているが,正確な履歴は微小組織の解析を実施した後に報告する. (2)水素ガスは断層破砕帯中では,最低でも大気濃度の10倍以上で最大1%に達する.断層コアでは減少し,隣接するダメージゾーンで増加する独特のプロファイルを示す.COも水素ガスと類似のプロファイルを示している. (3)メタンガスは水素ガスと逆の傾向を示し,コアに濃集している.コア掘削中に泥水が黒変,メタンガスを大量に放出する現象も確認された.コアは還元環境となっている可能性がある. (4)酸素,二酸化炭素,ヘリウムは,最大の破砕帯(120m深度)の下限を境界としてトレンドを変化させている.すなわち,酸素は増加,二酸化炭素は減少,ヘリウムは出現しなくなる.これらのことは,120m深度破砕帯が地表水と地下深部からの水の境界層と成っている可能性を示す.
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