Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小畑 正明 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20126486)
堤 昭人 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90324607)
林 愛明 静岡大学, 理学部, 教授 (90283861)
福地 龍郎 山口大学, 理学部, 助教授 (90212183)
芝崎 文一郎 独立行政法人建築研究所, 主任研究員 (20344012)
|
Research Abstract |
本研究の目的は,(i)断層の実体を明らかにする断層研究,(ii)断層内プロセスを再現して断層のレオロジー的性質(構成則)を決める実験的研究,(iii)理論・シミュレーションによる断層の挙動解析,および(iv)断層の実際の挙動を明らがにする地震学・測地学的研究を融合することによって,沈み込みプレート境界の挙動の多様性と地震の発生機構を明らかにすることである.今年度は,研究代表者が開発した容器内変形透水試験機に油圧サーボ式裁荷システムを取りつけて,同試験機を本格的な試験機として完成させた.研究においては,以下の成果が得られた.(1)花折断層,中央構造線,野島断層など,いくつかの断層帯の実測された浸透率構造を用いてthermal pressurizationの解析をおこない,この機構によって地震学的結果に非常に近いすべり弱化距離,Dcが得られることを示した.(2)Thelral pressurizationを含めて地震の動的破壊過程を解析し,断層帯内部のスリッピング・ゾーンの幅が破壊過程に大きな影響を与えることを示した.(3)摩擦溶融実験を様々な岩石について拡張し,摩擦溶融時の断層の力学的挙動は多様であるものの,メルトの粘性率が大きく違っても,メルトを含む断層の剪断抵抗は大きくは違わないことを示した.(4)母島海山から採取した蛇紋岩(おそらく蛇紋石化したウェッジ・マントル起源)を用いて低速摩擦実験をおこない,低温型蛇紋岩からなる断層ガウジが非常に複雑な性質をもつことを明らかにした.(5)台湾北西部,新潟,三浦半島の第三紀層と第四紀層の地下浸透率・間隙率構造を求め,台湾では実測された性質に基づいて堆積作用と流体移動の競合過程を解析して,異常間隙圧の発達過程を再現した.
|