2005 Fiscal Year Annual Research Report
梅雨前線帯小低気圧とそれに伴う豪雨の構造とメカニズム
Project/Area Number |
16340138
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坪木 和久 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 助教授 (90222140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 博 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 教授 (80184935)
篠田 太郎 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 助手 (50335022)
新野 宏 東京大学, 海洋研究所, 教授 (90272525)
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Keywords | 梅雨前線帯小低気圧 / 豪雨 / 梅雨前線 / メソ低気圧 / 中間規模低気圧 / 雲解像モデル / CReSS / 積乱雲 |
Research Abstract |
昨年度に引き続いて平成15年6月7日〜8日にかけて沖縄県宮古島付近で観測された梅雨前線帯小低気圧について、雲解像モデルCReSS(Cloud Resolving Storm Simulator)を用いてシミュレーション実験を行った。今年度は海洋研究開発機構の地球シミュレータを用いた大規模並列計算を行い、水平解像度1kmで東シナ海を含む大規模な計算領域でシミュレーション実験を行った。これにより小低気圧は梅雨前線に沿った南北温度傾度の大きい場に発生する擾乱の階層構造のひとつで、かつ積乱雲が重要な役割を果たす低気圧であることが示された。これをさらに裏付けるために、湿潤過程(雲・降水過程)についての感度実験として、それを除いた実験を行った。この場合、小低気圧は発生せず、湿潤過程による加熱が小低気圧のエネルギー源となっていることが示された。 このように雲・降水過程が重要であることが示されたが、小低気圧発生時に観測された積乱雲についてドップラーレーダーデータの解析を行った。これにより単一セルの積乱雲であるにもかかわらず、この地域の梅雨期にみられる湿潤な環境下では他にはみられないような長寿命の積乱雲が存在することを発見した。さらにその詳細な解析により、この長寿命をもつ積乱雲の発達についての力学的プロセスを明らかにした。 2004年7月12日〜13日に発生した「平成16年7月新潟・福島豪雨」について、データ解析を行ったところ、梅雨前線に沿って発生した小低気圧の南東側で豪雨が発生したことが示された。この小低気圧と豪雨について、CReSSを用いてシミュレーション実験を行った。その結果、小低気圧に伴う高湿度の南東風の非地衡風的振る舞いにより降雨帯が形成され、さらにその降雨帯が長時間維持されたことで豪雨がもたらされたことが示された。
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Research Products
(3 results)