2004 Fiscal Year Annual Research Report
超高層大気中における中性粒子の速度分布関数を測定可能な計測器の開発
Project/Area Number |
16340149
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
早川 基 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・宇宙プラズマ研究系, 助教授 (90167594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 義文 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・宇宙プラズマ研究系, 助教授 (30260011)
浅村 和史 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・宇宙プラズマ研究系, 助手 (50321568)
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Keywords | 速度分布関数 / 計測器 / 質量分析 / 超高層大気 |
Research Abstract |
電離圏起源の水素、ヘリウム、酸素イオンが極域上空から大量に磁気圏尾部に流出している事が明らかになっており、磁気圏における物理現象への電離層プラズマの寄与が改めて注目されつつある。同様の現象は火星においても観測されており、金星においても存在すると考えられているが、イオンの加速・流出のメカニズムは未だ解明はされていない。これらの大気の流出のソースとなっている熱圏(電離圏)では電離成分に対して中性粒子密度の方が圧倒的に大きく熱圏におけるプラズマの運動を考える上で元となる中性ガスの組成・温度・運動を無視することは出来ない。特に酸素の散逸過程においては、解離性再結合から生じる高速の原子が重要な役割を果たすことが示されており、酸素原子の速度分布を測定する事は流出を理解する上で重要な課題となっている。しかしながら、従来の質量分析器は大気組成の正確な測定を目的に開発されており、測定原理上速度分布関数を測定する事はできなかった。この為、熱圏における中性大気の速度分布関数は未だに測定されたことがない。中性粒子を電離後、進行方向に対して垂直に加速する事により加速方向以外に関しては元々の速度を維持する事で質量分解能は犠牲にしても速度分布関数の測定が可能であるタイプの中性ガス質量分析器を開発を行っている。当初は中性ガスの電離をパルスビームを用いて行い、飛翔時間計測(TOF)を行う事で質量分析を行う事を考えて装置開発を行っていた。この結果、質量分析及び速度分布関数の測定が原理的には可能である事が示されたが、同時にいくつかの問題点が明らかとなった。それらを克服する為に、飛翔時間計測による質量分析の変わりにエネルギーの違いを用いた質量分析を行う事で、パルスビームを用いずにDC電流の使用を可能とする構成を新たに考え、計算機による設計および、実験室用モデルを通して基本特性の取得を行っている。
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