2006 Fiscal Year Annual Research Report
マントル最下部における珪酸塩の溶融関係に関する実験的研究
Project/Area Number |
16340164
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
近藤 忠 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (20252223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 栄治 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (60136306)
鈴木 昭夫 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (20281975)
寺崎 英紀 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (50374898)
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Keywords | 地球・惑星内部構造 / 惑星起源・進化 / 固体地球物理学 / 岩石・鉱物・鉱床学 / 地殻・マントル物質 |
Research Abstract |
最終年度である今年度は、初年度に導入したスパッタリング装置、レーザー加熱用ダイヤモンドアンビルセルを用い、引き続きこれらの装置による室内の実験、放射光実験と回収試料の分析を行った。研究計画開始当初から大きな課題の一つであった地球内部最大の境界である溶融鉄と各種珪酸塩との反応関係について実験を続けた結果、より温度と圧力が安定した状態で核-マントル条件での反応実験が可能になった。また、日本電子の協力による収束イオンビーム加工機を用いた微小試料の薄膜加工技術を確立する事により、試料の任意の部位・方向の薄膜試料作成が可能となった。この結果、回収試料中の温度勾配・及び温度勾配に起因する相の変化が明瞭に観察できるようになった。また、高エネルギー加速器研究機構にあるレーザー加熱型高温高圧その場観察システムの加熱光学系を大幅に改良し、ほとんどのダイヤモンドアンビルセルでX線観察中に両面加熱・両面測温・両面光学観察が可能となった。これらの装置の改善に伴い、Fe-H2O系の実験に関して、SPring-8および、高エネルギー加速器研究機構放射光実験施設を用いたX線その場観察実験を行い、100GPaまでの融点直下の相変化を調べた。この結果、100GPa領域での鉄とみず反応境界が従来考えられていたより高い2000Kを超える温度である可能性が分かった。また、核中の熱源として重要なカリウムと溶融鉄との反応関係に関しても続けて調べた結果、溶融金属鉄中のカリウムの温度圧力依存が正である事が分かった。更に、マントル内熱源の重要な候補であるK-ケイ酸塩の安定領域に関してX線その場観察実験を行い、従来回収実験で得られていた相関係とは異なり、高温高圧下ではpost-Hollandite相と呼ばれる相が100GPa領域-3000Kの条件でも安定に存在できる事が分かった(Hirao et al., in review)。
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Research Products
(2 results)