2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16340173
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石橋 純一郎 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (20212920)
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Keywords | 熱水化学組成 / 流体包有物 / 熱水性鉱床 / 海底熱水循環系 / 背弧海盆 / 黒鉱鉱床 / 鉱床成因論 |
Research Abstract |
計画の二年目である平成17年度には、初年度に構築された熱水分析システムを利用して、現世の海底熱水系から採取された試料について化学分析を進めること、鉱石試料中の流体包有物の化学分析法を確立すること、の2点に主眼を置いて研究を進めた。 現世の海底熱水系から採取された試料の化学分析については、昨年度に実施された航海で採取された南西太平洋ラウ海盆の試料について、熱水中の溶存元素成分および溶存気体成分の定量を引き続いて行なうとともに、平行して鉱石試料中の流体包有物の物理計測を行った。後者の研究からは、流体包有物の均質化温度がCu-Feに富む鉱石では270-370℃であるのに対してBa-Znに富む鉱石では210-260℃を示すことがわかった。鉱石を構成する鉱物の違いに対応して流体包有物が異なる温度を示すが、この違いは液相に富む熱水と気相に富む熱水といった熱水化学組成の違いに対応しており、二相分離に伴う熱水温度や化学組成の分別が熱水から生成する鉱物種の相違の原因となっていることを示すものであった(これらの成果の一部を論文発表した)。さらに、今年度に沖縄トラフで実施された調査航海から得られた試料についても、二相分離に伴うと考えられる二種類の熱水が見られている。また鉱石鉱物を構成する鉱物種についても2つのグループがあるが、ラウ海盆のものとは明らかに構成鉱物種が異なっている。このことは堆積物に覆われた熱水系である沖縄トラフでは熱水組成にその影響があらわれており、これが熱水性鉱石の鉱物種に反映していると考えている。 鉱石試料中の流体包有物の化学分析法の検討については、予備実験として乳ばちの中で鉱物をすりつぶして得られる化学成分を蒸留水で抽出したものの分析を行ない実験条件の検討を行った。
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Research Products
(2 results)