2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16350005
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
新井 達郎 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (50151139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 賢宣 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (60218211)
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Keywords | 巨大分子 / 光化学 / 光物理 / ダイナミクス / 光異性化 / 蛍光 / デンドリマー / スチルベン |
Research Abstract |
1)HBOをコアとしたデンドリマーを合成した。HBOは励起状態で分子内水素原子移動を起こし、生成した互変異性体から蛍光放出するが、その効率は低い。ところが今回合成したHBOデンドリマーでは、励起状態の挙動に対して効果が観測された。特に互変異性体の励起一重項状態からの失活過程に対する効果が顕著であった。蛍光効率が、世代の増加伴い上昇した。これは、デンドリマー化により、励起一重項状態からの異性化反応が抑制されたことが主な原因であると考えられる。項間交差の効率は世代間で変わらなかった。励起状態で互変異性体から放出される蛍光は、高濃度下での基質による再吸収の影響等を受けにくいため、様々な応用が考えられるが、蛍光量子収率が低いことが問題となっていた。今回デンドリマー化のような簡便な方法で発光効率を増加させることが可能であることがわかった。 2)溶解性を高めるために、長鎖アルキル基を導入したポリフェニレンを有するスチルベンデンドリマーを合成した。アルキル鎖導入により、各種溶媒に対する溶解性が向上しただけでなく、キャストによりデンドリマーフィルムの生成が可能となった。溶液中でトランス体の蛍光量子収率は0.5-0.7程度であった。また、トランス体の光照射により、シスートランス間での光異性化が見られた。光異性化の定常状態比は、別に合成したシス体の吸収スペクトルとの比較により求められ、溶媒に大きく依存することが分かった。またデンドロンの置換位置によっては、分子内光環化だけでなく、分子間での光二量化を起こすことが分かった。フィルム中においても、蛍光発光が観測された。さらにフィルム中であるにも関わらず、分子全体の構造変化を伴う光異性化反応を起こすことが分かった。
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Research Products
(13 results)