2006 Fiscal Year Annual Research Report
金及び貴金属集積化クラスター触媒の電子状態及び低温触媒活性の理論的解明
Project/Area Number |
16350011
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥村 光隆 大阪大学, 理学研究科, 助教授 (40356712)
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Keywords | 貴金属クラスター / 金クラスター / 表面吸着 / サイズ効果 / ヘテロ接合 |
Research Abstract |
金クラスター上での水分子存在下での酸素分子の吸着に関する検討を行ったところ、負に帯電した金クラスター上において水分子と酸素分子が表面錯体形成を起こし、水素結合を通した酸素分子への電荷移動の促進効果があることが明らかになった。この結果は、水分子が存在することにより酸素分子の活性化を促進するという結果を示しており、水分が存在する条件でのCO酸化活性の向上という金触媒の特異な触媒特性を解明することに成功したと考えられる。さらに平面Au10クラスターへのチオール置換基を持つ有機分子の吸着構造の検討を行ったところ、クラスターの直下に仮想的な電荷を配置して金クラスターの電荷を分極させることにより吸着分子からの電荷移動量が大きく変化することが明らかになり、吸着分子間の相互作用にも直接影響することが明らかになった。 Pd38クラスター、PtPdコアシェル構造38クラスターの電子状態について検討を行った。Pdクラスターの表面電に対して、Pd/Ptコアシェル構造を有する38クラスターでは、表面のPd原子から内殻のPt原子への電荷移動が観測され、表面電荷の変化が13クラスター同様に観測された。さらに、38クラスターでは表面に稜辺部以外の最外表面原子が存在するようになるが、この原子が稜辺部の原子とは異なる電荷状態を持ち、静電ポテンシャルなどからもことなる反応基質と相互作用する可能性があることをあきらかにした。またPdクラスターの電子状態は同じサイズのPtクラスターに比して非常に柔らかいことがアセチレンの吸着状態の検討から明らかになった。この電子状態の柔らかさがPdクラスターが示す高い触媒活性に関連していると考えられる。
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Research Products
(6 results)