2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16350021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小松 紘一 京都大学, 化学研究所, 教授 (70026243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 靖次郎 京都大学, 化学研究所, 助手 (40314273)
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Keywords | 分子手術 / 水素吸蔵 / フラーレン / C70 / 水素内包フラーレン / 超伝導 / 温度可変NMR / ドーピング |
Research Abstract |
(1)分子手術法による水素内包C70の合成:(a)開口フラーレンの合成と水素の100%導入:フラーレンC70とピリダジン誘導体との熱反応を利用して8員環開口部をもつフラーレン誘導体を合成し、この開口部を光化学的酸素酸化反応で12員環に拡大、さらに開口部への硫黄の導入により、最も大きな開口部をもつC70誘導体を合成した。これに高圧水素を作用させ、水素分子を骨格内部に100%導入することに初めて成功した。さらにNMR分析によってこの内97%は1個の水素分子、3%は2個の水素分子を内包していることが判った。水素分子2個入りの誘導体を分離し低温温度可変NMRにより、2個の水素分子が互いに速い位置交換を起こしていることを見出した。(b)開口部の修復:骨格内部に水素分子を保持したまま、開口部の硫黄原子を酸化と引き続く光化学反応によって除去し、続いて開口部の2個のカルボニル基を還元的にカップリングさせることによって、開口部を8員環まで縮小、最後に、熱反応によって一挙に開口部を閉鎖し、これまでに例のない、1個または2個の水素分子を内包したフラーレン、H2@C70および(H2)2@C70を合成することに初めて成功した。 (2)水素内包C70の性質:内部に1個または2個の水素分子を封入することによって、外側のC70骨格のパイ電子系は、特にベルト位部分でより顕著な電子的あるいはvan der Waals相互作用の影響をもつことが、13C NMRおよびIRスペクトル測定の結果から明らかとなった。 (3)水素内包C60の性質:先に合成した水素内包フラーレンH2@C60の内部水素と外側のパイ電子系との間の相互作用は極めて小さいことが13C NMRおよび電気化学的測定により示された。一方、カリウムによるドーピングを行い、極低温における超伝導の発現について検討した結果、超伝導発現の臨界温度は15.7Kと、空のC60の場合よりも低下することが明らかとなった。
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Research Products
(11 results)