2005 Fiscal Year Annual Research Report
ゲスト分子を可逆的に取込む光スイツチング配位高分子の合成配
Project/Area Number |
16350037
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
宗像 惠 近畿大学, 理工学部, 教授 (80090942)
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Keywords | 光スイッチング / ゲスト分子 / 多孔性 / 銅錯体 / 配位高分子 / 結晶構造 / フォトクロミズム / ジアリールエテン |
Research Abstract |
昨年度合成した4種のフォトクロミック・ジアリールエテンを用いて新規フォトクロミック多孔性配位高分子の合成を行ったが、1,2-bis(5-carboxy-2-methyl-3-thienyl)perfluorocyclopentene(BM-5-CATP)以外の3つのジアリールエテンでは成功しなかった。 一方BM-5-CATPでは多孔性銅(II)配位高分子[Cu_2(BM-5-CATP)_2(H_2O)_2]の合成に成功した。二つのCuイオンには、四つの異なるBM-5-CATPのカルボン酸アニオンが架橋配位した二次元シート構造を形成していた。興味あることに、c軸を回転させたとき0°及び90°の方向にそれぞれ3.0×4.3Å及び3.2×5.0Åのチャンネルを有していた。このチャンネル内に、取り込まれているゲスト分子については、X線構造解析からは、解析精度が不十分で特定出来なかった。しかしTG測定から水分子が取り込まれている可能性が示された。 次に、[Cu_2(BM-5-CATP)_2(H_O)_2]の結晶粉末を用いて、光照射前後の拡散反射スペクトルを測定し、フォトクロミズムについて検討した。この配位高分子305nmの紫外光を照射すると590nmにλ_<max>をもつ新しい吸収ピークが観測された。これに伴い錯体は淡青色から閉環体の濃青色に変化した。次にこの閉環体に可視光を照射すると590nmの吸収帯の減少と共に元の淡青色に戻った。これより、この配位高分子が固体状態で可逆的にフォトクロミズムを示すことを明らかにした。 さらに、配位高分子の閉環体の吸収強度はBM-5-CATPの閉環体よりも強く、閉環体への転換率が錯形成により向上したことを見出した。この化合物は「ゲスト分子を可逆的に取込む光スイッチング配位高分子」として十分期待されることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)