2004 Fiscal Year Annual Research Report
液・液、液・膜界面で生成する“反応活性イオン"の特性解明と分析化学的利用
Project/Area Number |
16350043
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
木原 壯林 京都工芸繊維大学, 大学院・工芸科学研究科, 教授 (60161543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 耕治 京都工芸繊維大学, 大学院・工芸科学研究科, 助教授 (00229303)
吉田 裕美 京都工芸繊維大学, 大学院・工芸科学研究科, 助手 (40314306)
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Keywords | 水相|有機相界面 / 特異電荷移動反応 / 反応活性イオン / 迅速全電解法 / 界面移動反応種の同定 / 回転液膜ディスク電極 / 界面移動反応速度 / 拮抗的電荷移動反応 |
Research Abstract |
液・液あるいは液・膜界面は、溶液バルクでは発現しない反応を実現できる極めて特異で、魅力溢れる反応場であるため、多くの分野で物質の創製・分離・精製・検出などに活用されてきた。また、同界面は、生体内での物質変換、エネルギー変換、電気信号の発生・伝達などの生理反応においても重要な役割を果たす。 報告者らは、液・液、液・膜界面での反応の特性として、次の2点がとりわけ重要であると考えて本研究を進めた。(1)界面は、有機相あるいは膜がそれと接する水相との間での親水的イオン(特にプロトン)のやり取りを可能にする場であり、水相と接する界面が存在しない限り、有機相あるいは膜内の反応の多くは進行しない。(2)界面では反応活性なイオン種が生成する。親水性イオンが、溶媒和が弱く反応性の高い有機相から溶媒和が強く反応性の低い水相に移動するとき、水和の完成に先んじて、水相中の化学種と反応するとしたら、この反応は水相中に比べて容易に進行すると考えられる。 本研究で進めた研究の具体例は以下のとおりである。 1.水相|有機相界面で進行する反応の解析のために、2つの新電解法を開発した。1つは、水相中のイオンの全てを1分以内に有機相に移動させ得る超迅速電解法である。これによれば、界面移動する化学種を容易に同定できるとともにイオンの精密絶対定量も可能である。他の1つは、固定した有機溶液膜を水相中で回転させる回転液膜ディスク電極である。これによれば、回転水相|有機相界面を利用したイオン移動反応速度の測定が可能となる。 2.水相|有機相界面特異電荷移動反応の解明。水相と接する有機相中のポルフィリン鉄錯体は水相のpHに依存したプロトンの移動によって2量体化あるいはプロトン化し、また、水相中の酸化体を還元する。このプロトン移動反応と界面酸化還元反応とは互いに拮抗的に促進あるいは抑制することを明らかにした。これは、界面に特有な反応である。
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Research Products
(10 results)