2004 Fiscal Year Annual Research Report
水溶液内イオン会合解析に基づく高選択的イオン会合試薬の設計・合成と分析化学的研究
Project/Area Number |
16350044
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
本水 昌二 岡山大学, 理学部, 教授 (50032826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 光子 岡山大学, 理学部, 助教授 (80108117)
高柳 俊夫 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (50263554)
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Keywords | イオン会合 / イオン会合試薬 / キャピラリー電気泳動 / イオン移動度 / イオン会合定数 / 水溶液内平衡 / リン定量 / 無機陰イオン |
Research Abstract |
水溶液内の疎水構造型イオン会合の普遍的重要性に着目し,(a)イオン会合の分析化学・基礎化学的研究,(b)新規イオン会合試薬の合成・開発研究,(c)イオンの回りのミクロ環境及び水構造制御による高機能発現の研究を深化させた新しい分離・分析化学を展開した.具体的には,次の項目を達成した.(1)水溶液内イオン会合解析法の確立:精密イオン会合反応解析法として、キャピラリー電気泳動法による精密イオン移動度測定法を開発した。本法を用いて、かさの小さいイオン、比較的かさ高いイオン、電荷の大きいイオンなどの無機陰イオン(Br^-,I^-,SCN^-,NO_3^-,NO_2^-,Fe(CN)_6^<3->,Fe(CN)_6^<4->,Co(CN)_6^<3->等)と対象的第4級アンモニウムイオンとのイオン会合反応の平衡を解析した。Bjerrumのイオン会合論を検証するために、誘電率を徐々に変化させた溶媒中におけるイオン会合定数を求めた。誘電率の異なる溶媒としては、エタノール-水混合溶媒、アセトニトリル-水混合溶媒、及びジオキサン-水混合溶媒を用いた。得られた結果はいずれもBjerrum式からの予測と大きく異なっていた。これは、イオンのまわりの水構造を考慮することの重要性を示し、本水の提唱するイオン会合論の妥当性を裏付けるものである。(2)高選択的イオン会合試薬の設計と合成:イオンの親水性/疎水性,分極性,電荷局在/非局化,電荷密度を変化させた試薬を,選択性向上とソルバトクロミズム発現の観点から設計し,系統的に合成した.新たにシアニン系陽イオン色素のイオン会合反応性を見出し、アルキル鎖長の異なる試薬を設計/合成し、水溶液中での陰イオン界面活性剤のイオン会合/発色反応系を開発することに成功した。さらに、微量リン及びケイ素の高感度定量法として、ヘテロポリ酸生成/イオン会合反応系の開発に成功し、フローインジェクション分析法に応用し、超純水等中に含まれるsub-ppbのリン、ケイ素の定量を初めて実現した。また、ブランク補正が不要なスロープ比較法の概念を提案し、超純水中のリン、ケイ素のイオン会合/膜捕集分析に応用した。
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Research Products
(6 results)