2004 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチドを基盤とする人工酵素創成を目指した反応場および分子認識場の設計と合成
Project/Area Number |
16350051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
土井 隆行 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (90212076)
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Keywords | ペプチドテザー / 分子内Diels-Alder反応 / 環状ペプチド / 計算科学 / 立体選択的合成 / 位置選択的合成 |
Research Abstract |
ペプチドを基盤とする反応場の設計と合成:ペプチドテザーを用いるDiels-Alder反応の開発 α-ヘリックスから側鎖が同方向に位置するペプチドとしてアスパラギン酸、トレオニンのジペプチドをペプチドテザーとして選定した。このジペプチドの一方の側鎖上のカルボン酸にジェノールエステルを,もう一方の側鎖上の水酸基にα,β-不飽和カルボン酸を導入し,分子内Diels-Alder反応を検討した。その結果,通常の分子間の反応では位置選択性が全く発現しない1-メチレン-2-メチル-2-プロペノールエステルとアクリル酸ヱステルとの系において,このジペプチドテザーは位置および立体選択性を高く制御することを見出した。この結果は,MM2遷移状態モデルおよびPM3とab initio法を組み合わせた遷移状態構造の計算による予測と非常によく一致し,これらの計算手法がフレキシブルなペプチドテザーの設計に利用できることも示した。さらにペプチドテザーとしてアスパラギン酸とセリン,またジエノフィルとしてメタクリル酸エステルを用いた系についても検討した。その結果,ジエノフィルにメタクリル酸エステルを用いると,いずれのテザーを用いても立体選択性は全く発現しないこと,および,ジエノフィルにアクリル酸エステルを用いた場合にテザーのトレオニンをセリンにすると,全く逆の立体配置が得られることを見出した。このように計算科学を主導とするジペプチドテザーの分子設計を行い,位置および立体化学を制御した分子内Diels-Alder反応の開発に成功した。
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Research Products
(6 results)