2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16350052
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大江 浩一 京都大学, 工学研究科, 教授 (90213636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 隆男 京都大学, 工学研究科, 助手 (90301241)
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Keywords | カルベン錯体 / カルベン移動 / 触媒 / 異性化 / 環化付加 / 1,3-および1,5-金属シフト |
Research Abstract |
アルキンと遷移金属との反応によって生じるカルベン錯体を鍵中間体とする新規触媒反応の開発を行った。本研究では,独自に開発したカルベン錯体の発生法を利用した触媒的カルベン移動反応をさらに発展させることを目的に,ヘテロ芳香族化合物との開環・挿入反応およびオリゴインの異性化反応におけるカルベン転位反応に関する検討を行った。 (1)酢酸プロパルギルと遷移金属錯体との反応によりビニルカルベン錯体が発生する。この反応には様々な後期遷移金属錯体が活性を示すが,特に活性の高いルテニウム錯体および白金錯体を用いてヘテロ芳香族化合物との反応を検討したところ,ヘテロ芳香族の開環ならびに形式的挿入反応生成物を与えることが明かとなった。例えば,ルテニウム触媒[RuCl_2(CO)_3]_2の存在下,酢酸プロパルギルとフランおよび2-メチルフランとの反応では,フラン環の開環によりそれぞれトリエンが生成した。反応は,ルテニウム-ビニルカルベン錯体のカルベン中心がフランの2位へ求電子的に付加することによって進行すると考えられる。一方,2,5-ジメチルフランとの反応では,3位がアリル化された生成物が得られた。これは,カルベン中心がフランの3位C-H結合へ形式的に挿入した生成物とみなされる。また,同様の触媒反応が白金触媒によっても効率的に進行する事を明らかにした。 (2)酢酸プロパルギル部位を両末端に有するジインおよびトリインに対して[RuCl_2(CO)_3]_2触媒を作用させると,アセタートが転位したジエンインまたはジエンジインがそれぞれ得られた。この反応では,生じたビニルカルベンルテニウム錯体のカルベン中心が,隣接するアルキン炭素上を移動(1,3-および1,5-金属シフト)して触媒的異性化が進行したと考えられる。
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Research Products
(2 results)