2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16350054
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
神戸 宣明 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60144432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺尾 潤 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00322173)
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Keywords | ハロゲン化アルキル / パラジウム / クロロシラン / クロスカップリング反応 / アリル化反応 / アート型錯体 / アリルエーテル / アリルシラン |
Research Abstract |
当研究室では既に、パラジウム触媒、1,3-ブタジエン及びグリニャール試薬との反応により生成するビス(η^1,η^<3->)アリルパラデート錯体を鍵活性種とし、アルキルハライドによるクロスカップリング反応やクロロシランによる二量化ダブルシリル化反応の開発に成功している。 本研究では、パラジウム触媒とアリルエーテル類およびグリニャール試薬との反応により生成するモノアリルパラデート錯体の反応挙動及びその触媒反応への応用について検討を行った。その結果、クロロシランを用いることによりユニークなアリルシランの合成法を開発した。一方,クロロシランの代わりにアルキルハライド類を用いることにより、グリニャール試薬とのクロスカップリング反応が進行することを見出した。 例えば、パラジウム触媒存在下、アリルフェニルエーテルとトリプロピルクロロシランおよびフェニルグリニャール試薬をTHF中25℃で1時間反応させるとアリルシランが定量的に得られ、クロロシランの代わりにアルキルトシラートを用いると、対応するアリル化体ではなく、グリニャール試薬とのクロスカップリング体が主生成物として得られた。 本反応はまず、Pd(acac)_2の還元により生成した0価パラジウム錯体にアリルフェニルエーテルが酸化的付加し、π-アリルパラジウム錯体が生成し、次に2当量のグリニャール試薬との反応により、π-アリルパラデート錯体が生成する。このアート錯体のアリル配位子は求核的に活性化され、クロロシランによる親電子的補足によりアリルシランが生成する。一方、アルキルトシラートはπ-アリルパラデート錯体の中心金属とグリニャール試薬の有機基と協奏的に反応することにより、クロスカップリング体を与えると考えられる。そこで、この触媒反応の鍵中間体のモデル錯体として、ビス-π-アリルパラジウム錯体とグリニャール試薬との反応によりアート錯体を調製し、クロロシランとの反応を行ったところ、期待通り、アリルシランが定量的に生成し、アルキルハライドとの反応ではグリニャール試薬とのクロスカップリング体が主生成物として得られた。
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Research Products
(7 results)