2004 Fiscal Year Annual Research Report
物質認識・情報変換機能を併せ持つ新規センシングシステムの構築に関する研究
Project/Area Number |
16350065
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
樋口 真弘 三重大学, 工学部, 助教授 (50357836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 正美 三重大学, 工学部, 教授 (30093123)
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Keywords | センシングシステム / ペプチド集合体 / 認識多様性 / 物質認識 / 情報変換 / 相補的相互作用 / イオンチャネル / 自己組織化 |
Research Abstract |
本研究では、認識対象物質との相補的相互作用により形成されるチャネル形成能を有するペプチド集合体を用い、基質認識機能と信号変換機能を併せ持つ新規センシングシステムの構築を目的としている。 本年度は、基質との相補的相互作用により形成されるチャネルペプチド集合体への基質の再結合が、同チャネル孔を閉鎖することによるイオン透過性の変化を利用し、基質認識情報の電気化学的信号への変換に関し検討した。具体的には、ポリメチルグルタメート(PMG,重合度:22)のN末端に、アセチルコリン(ACh)結合サイトとしてAsp, Tyr, Trp、γ-アミノ酪酸(GABA)結合サイトとして、Ser, Tyrをそれぞれ有するペプチドを合成した。これらペプチドの側鎖メチルエステルを部分的に加水分解し、その5mol%を親水性のグルタミン酸に変換した。この4種末端修飾両親媒性ペプチドと、末端未修飾のPMGをモル比で1:1:1:1:4含むDPPCベシクルを調製し、基質との相補的相互作用により形成されるペプチド集合体の基質認識情報の電気化学情報への変換能を、ペプチド集合体を介するイオン透過性変化に基づく膜電位変化より評価した。測定は、内水相に200mM Glu-K,外水相に200mM Glu-Naを含むベシクル用い、膜電位感受性蛍光色素(di-S-C3(5))の蛍光強度変化より評価した。比較のため、カチオンチャネルであるグラミシジン添加による膜電位変化も合わせて測定した。グラミシジン添加時には、イオン透過の増加に伴い膜電位は脱分極し、蛍光強度の増加が確認された。AChとの相補的相互作用により形成されたペプチド集合体を含む模ではACh添加の場合のみ、また、GABAとの相補的作用により形成されたペプチド集合体を含む膜ではGABA添加の場合のみ、それぞれ蛍光強度が減少し、その電位が過分極した。この結果は、基質との相補的相互作用により形成されたペプチド集合体への基質の再結合が、同集合体を介するイオン透過性を抑制することを示した。つまり、ペプチド集合体の基質認識情報が、同集合体を介するイオン透過性の変化という形で、電気化学的信号に変換されたことを示し、同システムを用いた基質認識機能と信号変換機能を併せ持つ新規センシングシステムの構築の可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)