2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16350076
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久枝 良雄 九州大学, 大学院工学研究院, 教授 (70150498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶌越 恒 九州大学, 大学院工学研究院, 助手 (00284539)
林 高史 大阪大学, 工学研究科, 教授 (20222226)
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Keywords | コバルト錯体 / 二核錯体 / 酸化還元挙動 / カリウムイオン / 分子認識 / 超分子錯体 / クラウンエーテル / 軸配位 |
Research Abstract |
1)金属錯体は、中心金属と有機配位子の組み合わせから、多様な電子状態と多彩な幾何構造の創製が可能となり、触媒や分子認識素子としてのみならず、分子集合体のビルディングブロックとして幅広く利用できる。特に複核金属錯体では、複数の電子移動サイトと分子認識サイトを有し、単核錯体にはない特異な反応性を示すことから、金属酵素モデルを中心として多くの研究例がある。本年度は、こうした複核金属錯体の特徴を利用した新しい機能創生を目的とし、コバルト二核錯体を用いた新しい分子デバイスの構築を行った。 2)シッフ塩基型の二核化配位子を合成し、これにコバルトを導入し二核錯体を創製した。二核コバルト錯体の軸配位子としてアミノメチルベンゾクラウンエーテルを配位させることにより、超分子錯体が生成した。本錯体は、コバルトの価数を+2価と+3価で可逆的に変化させることで、軸配位特性により超分子錯体構造を可逆的にオン/オフすることが出来た。 3)クラウンエーテル部位を有するアミン系配位子がコバルト2核錯体に軸配位すると、上下の配位座に2つのクラウンエーテル部位を有する超分子錯体が形成した。この錯体はカリウムイオンを認識し、取り込むことができる。^1H-NMR法により認識挙動を検討した結果、この超分子錯体とカリウムイオンが1:1で複合体を形成することが明らかになった。この結果は、MSスペクトルによる検討からも支持された。アセトニトリル中での結合定数は10^5M^<-1>のオーダーであることが明らかになった。 4)上記のように、新規二核コバルト錯体を合成し、酸化還元応答する超分子錯体の創製に成功し、カリウムイオンの認識などの新しい二核錯体の動的特性を見出した。
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Research Products
(7 results)