2005 Fiscal Year Annual Research Report
高分子材料のマテリアルリサイクリング過程で形成されるミクロ架橋構造の精密解析
Project/Area Number |
16350081
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
大谷 肇 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (50176921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 康行 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 助手 (70273266)
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Keywords | 高分子材料 / リサイクリング / マテリアルリサイクリング / 架橋構造 / ポリブチレンテレフタレート / 再結合 / 混練 / 熱分解ガスクロマトグラフィー |
Research Abstract |
本年度は、前年度検討したポリエチレンテレフタレート(PET)に引き続き、ポリブチレンテレフタレート(PBT)に着目し、そのリサイクリング工程を想定して混練処理を施したモデル試料を調製し、その課程で生ずるミクロ化学構造変化の解析を、PETの場合と比較検討しながら行った。ここでは、主として、反応試薬に強い有機アルカリである水酸化テトラメチルアンモニウムを用いる、反応熱分解ガスクロマトグラフィーの手法を用いた。また、混練処理を行ったモデル試料に加えて、長時間加熱処理して、意図的に異常構造を多く生成させたモデル試料も調製し、比較測定に用いた。その結果、加熱処理したPETおよびPBT試料のパイログラム上には共通して、もとの試料のパイログラムには観測されない特性ピークがはっきり観測され、同じピークが極微小ながら混練処理した試料のパイログラムにも観測された。このピーク成分の化学構造を、当該成分のオンライン質量分析および赤外分光分析により詳細に解析した結果、PETおよびPBTの両者とも全く同一の成分であり、熱処理や混練処理の過程で酸素の影響により生ずるフェニルラジカルが、別の高分子鎖の芳香環に結合して、架橋構造を形成することが明らかになった。このことは、前年度のPETのみの解析では不明確であり、PBTとの比較検討を行うことにより初めて解明されたものである。また、PETとPBTを比較した場合には、当該架橋構造はPETの方が生成しやすいことも実証された。これは、PBTではPETよりもメチレン鎖が長いため、架橋構造形成よりもメチレン鎖の開裂が優先するためであると考えられる。
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Research Products
(6 results)