2006 Fiscal Year Annual Research Report
無機系酸化剤を用いる水中での高効率酸化反応システムの創製
Project/Area Number |
16350083
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
益山 新樹 大阪工業大学, 工学部, 教授 (30157218)
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Keywords | グリーンケミストリー / 低リスク酸化反応 / Oxone / 水中反応 / 両親媒性樹脂 / PEG2000 / アルケンのエポキシ化 / 触媒のリサイクル |
Research Abstract |
1.両親媒性機能性高分子マトリックスを反応場とする水中でのOxone^R酸化反応システム Oxone^R(2KHSO_5.KHSO_4.K_2SO_4)は、比較的保存安定性が高く取扱いも容易であることから、これを酸化剤とする水中での有機基質の酸化反応システムの創製に取組んだ。Oxoneによるアルケンのエポキシ化反応は、系中にケトンを共存させると加速されることが知られていることから、本研究ではカルボニル基を有する両親媒性樹脂を新たに開発し、水に分散させた樹脂のマトリックス内部でアルケンのエポキシ化が進行するかを、様々な角度から検証した。 まず、PEG鎖末端に3-オキソブチル基を導入し、これを架橋ポリスチレンにグラフトさせた形のビーズ状両親媒性樹脂を懸濁重合法により合成することができた。架橋剤としてはDVBの他、マトリックス構造の柔軟性と親水性の付与を意図してテトラエチレングリコールビススチリルエーテルを新たに開発した。次に、pH10-10.5緩衝水溶液中でのOxoneによるα-メチルスチレンのエポキシ化反応に関して、樹脂の有効性の検証ならびに最適反応条件の探索を行った結果、以下の点が明らかになった:(1)樹脂を添加せず、ただ単に水溶液にアセトンを共存させた対照反応系と比べて、本研究の末端カルボニル基修飾PEGグラフト化架橋ポリスチレン樹脂が、水中でのOxone酸化の反応場として有効であることを見出した。(2)反応加速効果は、水に対する膨潤性が高く、かつ、カルボニル基を備えた樹脂で観測された。(3)反応温度5℃、基質に対してOxoneを1.25当量、樹脂4当量(カルボニル基換算)を用いて4時間反応が最適条件であり、各種アルケンに対して80%以上の収率で対応するエポキシドが得られた。(4)反応終了後、樹脂はろ過により回収でき、洗浄後、繰り返し3回反応に用いても活性が低下しない。 以上のように、新たに開発した機能性両親媒性樹脂を反応場とする水中でのOxone酸化反応システムは、極めて安全性が高く簡便な酸化反応の方法論として提案できるものと考えられる。 2.機能化PEG2000を用いた水中でのOxoneR酸化反応システム 水溶性高分子であるPEG2000の末端に3-オキソブチル基を導入し、これを用いた水中でのOxone酸化反応を行った結果、水に不溶なアルケンが可溶化され、対応するエポキシドが効率良く生成することを認めた。機能化PEG2000はエーテルで再沈殿させることにより、容易に回収・再利用が可能であった。
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