2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16350086
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
早川 芳宏 名古屋大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (50022702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 眞幸 名古屋大学, 大学院・情報科学研究科, 助手 (10362295)
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Keywords | ヌクレオチド / c-di-GMP / ユニバーサル塩基 / バイオフィルム / 黄色ブドウ球菌 / 緑膿菌 / 鉄還元菌 / 抗がん作用 |
Research Abstract |
本研究者が以前開発した合成法によってのみ可能である大量・十分量の環状ビス(3'-5')ジグアニル酸(c-di-GMP)を使用し、同化合物の生物機能・生理活性探索研究を、2カ国4グループと共同で行った結果、c-di-GMPは細胞内部に存在する場合と、細胞外部に存在する場合ではバイオフィルム形成において相反する作用をすることを示唆す興味深い事実を発見した。すなわち、c-di-GMPは、黄色ブドウ球菌に対し、外部から作用させると、同菌のバイオフィルム形成を阻害するが、緑膿菌、大腸菌、鉄還元菌の細胞内に存在、発生すると逆にバイオフィルム形成を促進することを見出した。c-di-GMPは状況によって異なる生理作用を示すというこれらの発見は、c-di-GMPの生物機能発現機序が多様かつ複雑であり、したがって、c-di-GMPはこれまで考えられていた範疇を遥かに超える多彩な生物機能・生理活性をもつ可能性があることを示したもので、今後、新規有用生物機能を有するc-di-GMP人工誘導体の設計、創製するための大きなヒントを与えるものである。事実、新発見を基に設計、創製したc-di-GMP人工誘導体のうち、環状ビス(3'-5')ジグアニル酸モノホスホロチオエート(c-GpGps)や環状ビス(3'-5')グアニル酸/アデニル酸(c-GpAp)などが、c-di-GMPと同様あるいはまったく異なる生理活性をもつことも、予備実験で見出した。また、これとは別にc-di-GMPが大腸がんにおけるがん細胞の増殖を抑えることも見出した。さらに、ケト-エノール互変異性化と軸回転配座異性化により、すべての天然核酸A、G、C、T(U)と水素結合型塩基対を形成し得るユニバーサル塩基として本研究者らが独自に設計したピリミド[4,5-d]-2,4,5,7-(1H,3H,6H,8H)-テトラオン(PPT)について、モデル化合物を調製、さらにそれを用い、PPTが実際、A、G、C、Tと期待通り水素結合による塩基対を形成する可能性が高いことを見出した。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Analysis of Pseudomonas aeruginosa diguanylate cyclases and phosphodiesterases reveals a role of bis(3'-5')-cyclic di-GMP in virulence2006
Author(s)
H.Kulesekaha, V.Lee, A.Brencic, N.Liberati, J.Urbach, S.Miyata, D.G.Lee, A.N.Neely, M.Hyodo, Y.Hayakawa, F.M.Ausebel, S.Lory
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Journal Title
Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 103
Pages: 2839-2844
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