2005 Fiscal Year Annual Research Report
免疫システムを利用したテーラーメイド人工酵素の開発
Project/Area Number |
16350091
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
藤井 郁雄 大阪府立大学, 理学系研究科, 教授 (70189984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
円谷 健 大阪府立大学, 理学系研究科, 助手 (00372855)
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Keywords | 抗体触媒 / 遷移状態アナログ / ハプテン / 免疫 / 抗原 / 補酵素 / 触媒抗体 |
Research Abstract |
従来の触媒抗体の多くは,単一の触媒因子(遷移状態の安定化)で反応を触媒するため,活性が低い.一方,天然酵素は,「遷移状態の安定化」に加え,「補酵素」や「一般酸-塩基触媒」などの触媒因子を組み合わせることによって高い活性を示す.すなわち,このような触媒因子の組み合わせを抗体タンパク質に導入することが高活性発現の鍵となる.そこで,種々の官能基をもつ非天然コファクターを合成し,抗体タンパク質へ導入することにより,複数の触媒因子(遷移状態安定化の他に求核触媒や一般酸塩基触媒)を協働させるための方法論の開発し,高活性触媒抗体を創出する.本年度は,基質および合成コファクターの両方に親和性をもつ抗原結合部位を作製するために合成したハプテン(遷移状態アナログ)を免疫し,モノクローナル抗体を作製した。得られた抗体について触媒活性を測定したところ,加水分解活性を有する抗体を見いだした。 1.抗体の作製:KLH-ハプテン縮合体を用いてBalb/cマウスに2週間間隔で免疫を行った。抗体価の上昇を確認後、電気細胞融合法(ECF)によりマウスの脾臓細胞とミエローマ細胞の融合を行い、BSA-ハプテン縮合体を抗原として酵素標識抗体測定法(ELISA)により抗体産生細胞を選別した。一連の細胞工学的手法により、ハプテンを特異的に認識する52種類のモノクローナル抗体が得られた。これらの抗体は全てIgGであった。得られた52種類の抗体をプロテインGカラムを用いてFPLCにより精製を行い、限外濾過による濃縮を行った。 2.触媒活性測定:精製・濃縮を完了した50種の抗体に関して活性スクリーニングを行った。右図に示すようにハプテンの構造からまず考えられるエステルと求核触媒として機能すると期待されるコファクター分子とのエステル交換反応を検討した。また、阻害剤としてハプテンを用いた。その触媒反応の阻害実験からハプテンの添加により濃度依存的に触媒反応が阻害された22種の抗体を得た。
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Research Products
(4 results)