2004 Fiscal Year Annual Research Report
化学的希薄ドーピングによる高機能層状超伝導体の創出
Project/Area Number |
16350096
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下山 淳一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (20251366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸尾 光二 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (50143392)
堀井 滋 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (80323533)
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Keywords | 層状構造 / 超伝導体 / 臨界電流特性 / 希薄ドーピング |
Research Abstract |
本研究では、層状の結晶構造を持つ超伝導体の臨界電流特性の劇的な改善を目的として、新しい手法である適切なサイトの希薄な濃度の元素ドーピングを実施している。本研究の狙いは希薄にドープした元素が超伝導コヒーレンス長よりも遠い間隔で分布し、構造歪みや電子散乱を介して弱い超伝導領域を形成し有効な磁束のピンニングサイトとして機能させることである。16年度に研究対象として取り上げた超伝導物質は、希土類123系、ビスマス系および2ホウ化マグネシウムであり、これらは実用材料候補として広く研究開発が行なわれているなか一層の臨界電流特性の改善が望まれている物質群である。 希土類123系は-CuO-BaO-CuO_2-RE-CuO_2-BaO-なる積層構造を持つが、Baサイトへの希薄Srドープによって単結晶、溶融凝固バルクともに液体窒素冷却下では2〜3Tの磁揚領域での臨界電流密度が大きく改善すること、またREの部位をYとしそこにLuを希薄にドープすることによって液体窒素温度で5Tまで優れた臨界電流特性が発現することを見出した。これらは構造の歪みを介した効果であり、ドープ部位によって効果が異なることは興味深い。ビスマス系2212相超伝導体単結晶ではPbの高濃度ドープに加えCaサイトのYによる希薄ドーピングが臨界電流特性の記録的な改善に寄与することを発見した。特に20Kにおいて臨界電流密度は低磁場下で80万Acm^<-2>に、3Tの磁場下でも10万Acm^<-2>をはるかに上回るようになり、これらは本物質の実用材料と比しても最高の特性である。2ホウ化マグネシウムにおいてはBサイトの希薄なC置換によって、高磁揚下まで臨界電流特性が改善することを確認し、ステンレス管内での拡散法という新しい高密度試料作製法の開発と併せて、世界最高レベルの本物質の臨界電流特性の実現に成功した。
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Research Products
(5 results)