2005 Fiscal Year Annual Research Report
化学的希薄ドーピングによる高機能層状超伝導体の創出
Project/Area Number |
16350096
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下山 淳一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (20251366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸尾 光二 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (50143392)
堀井 滋 東京大学, 大学院工学系研究科, 助手 (80323533)
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Keywords | 層状構造 / 超伝導体 / 臨界電流特性 / 希薄ドーピング |
Research Abstract |
本研究では、層状の結晶構造を持つ超伝導体の臨界電流特性の劇的な改善を目的として、新しい手法である適切なサイトの希薄な濃度の元素ドーピングを実施している。本研究の狙いは希薄にドープした元素が超伝導コヒーレンス長よりも遠い間隔で分布し、構造歪みや電子散乱を介して弱い超伝導領域を形成し有効な磁束のピンニングサイトとして機能させることである。17年度に研究対象として取り上げた超伝導物質は、希土類123系、ビスマス系および2ホウ化マグネシウムであり、これらは実用材料候補として広く研究開発が行なわれているなか一層の臨界電流特性の改善が望まれている物質群である。 希土類123系は-CuO-BaO-CuO_2-RE-CuO_2-BaO-なる積層構造を持つが、今年度はこのCu-OサイトへCo,Gaなどの希薄ドープにによって単結晶、溶融凝固バルクともに液体窒素冷却下では2〜3Tの磁場領域での臨界電流密度が大きく改善すること、さらにREをDyやHoにした場合、Baサイトの一部(最大2%程度)にこれらが置換することを見出し、この制御によって液体窒素温度では5T以上の高磁界領域まで10000A/cm^2以上の高い臨界電流密度の発現に成功した。これらでは本質的な臨界温度の低下が無く、化学的手法による微小弱超伝導領域導入がピンニング力を強めることを実証するものである。同様にビスマス系2212相超伝導体単結晶ではPbの高濃度ドープに加えCaサイトのLuによる希薄ドーピングが40Kにおける臨界電流密度の改善に有効であることを明らかにし、20K低磁場下で約100万A/cm^2に、5Tの磁場下でも15万A/cm^2という昨年度の研究で得られた最高記録をさらに更新する特性を実現した。2ホウ化マグネシウムにおいてはBサイトを希薄置換した最大50mm長の板状高密度材料の開発に成功し、電流リードへの応用の可能性を示した。
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Research Products
(9 results)