2005 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化低次元結晶を用いた有機FET/LDの開発
Project/Area Number |
16350101
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
柳 久雄 神戸大学, 工学部, 助教授 (00220179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 彬雄 信州大学, 繊維学部, 教授 (00283242)
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Keywords | π共役系オリゴマー / 低次元結晶 / 有機半導体 / 誘導共鳴ラマン散乱 / 電界効果型トランジスタ / 発光増幅 / 電流注入発光 |
Research Abstract |
有機レーザー・ダイオード(LD)の開発を目的として、強発光性のπ共役系オリゴマーの低次元結晶や薄膜を作製し、その誘導共鳴ラマン散乱(SRRS)現象に基づいた光励起発光増幅特性と、有機電界効果型トランジスター(FET)を用いた電流注入による発光特性を評価した。 1.自己組織化した低次元結晶のSRRS発光増幅特性 (チオフェン・フェニレン)コオリゴマー(TPCO)を溶液成長させた薄板状結晶を波長可変パルスレーザーを用いて光励起すると、ラマン散乱光が増幅した線幅〜0.5nmの強発光線が得られる。この発光線は分子の対称性に基づくラマン活性モードに従って現れたが、その偏光異方性を測定した結果、SRRS現象は単にラマン散乱光がスラブ導波路によってのみ増幅されたものではなく、分子性結晶のコヒーレント・フォノンに起因していることが示唆された。すなわち、分子が一軸配列したTPCO低次元結晶中でラマン活性な分子振動が共鳴励起下でコヒーレントに励振し、励起子と閉じ込め光が結合したポラリトン状態であることが予想される。この現象は、微結晶から室温で安定に得られることから、有機固体レーザー材料への応用が有望である。 2.FET構造をもつ有機発光素子の電流注入発光 有機LDを実現するためには、電子と正孔の両極キャリアを高密度で発光層に効率よく注入する必要がある。本研究ではTPCOの薄膜や低次元結晶を用いてFETを作製し、その電流注入発光特性を評価した。FETにおいて、ソース電極にAu、ドレイン電極にAl-Liのように仕事関数の異なる金属を用いてトップ・コンタクト素子を作製した結果、負ゲート電圧印加時に電流注入発光が観察された。この発光は、蓄積されたメジャー・キャリアであるホールがドレイン電極近傍で電子と再結合したことによると考えられ、今後、電子注入効率をいかに改善するかが課題である。
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Research Products
(7 results)