2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16350105
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
谷口 尚 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノ物質ラボ, グループリーダー (80354413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 賢司 独立行政法人物質・材料研究機構, 光材料センター, 主任研究員 (20343840)
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Keywords | 六方晶窒化ホウ素 / 深紫外線発光 / 半導体光物性 / 高圧合成 / 単結晶フラックス成長 / 不純物制御 |
Research Abstract |
本研究課題は、波長200nm付近の新規の高輝度深紫外線発光素子開発の一環として、六方晶窒化ホウ素(hBN)を対象として取り上げ、その高純度単結晶の合成と、光学的特性を明らかにすることを目的とした。 最終年度であるH18年度は、発光デバイス応用を志向した際に重要な課題となる良質、大面積薄膜合成の基礎研究を中心として取り組んだ。気相合成法による薄膜合成と共に、一気圧下での結晶育成へ展開する上で重要な高純度hBN結晶育成溶媒の探索を重点的に行った。更に光物性評価の点では、高純度hBN結晶のバンド端の深紫外線発光特性に対する積層欠陥による影響を実験的に明らかにした。 主たる研究成果を以下に示す。 (1)二次イオン質量分析(SIMS)により、hBN結晶中に含まれる酸素及び炭素不純物濃度の定量を行い、その濃度と結晶のバンド端発光挙動の相関を明らかにした。 (2)高圧合成法により得られた高純度単結晶の光物性評価を進め、hBN単結晶中の積層欠陥が及ばすバンド端発光特性への影響(自由励起子と積層欠陥に束縛された束縛励起子の発光寿命の差異、熱処理効果など)を明らかにした。 (3)これまで高圧法によってのみ合成が可能であった高純度hBN結晶を常圧下で育成し得る溶媒を新たに見出した。hBNは熱力学的に常圧、高温度下で安定であるため、適当な溶媒が調整できれば、常圧下での液相成長が可能である。これまで、高純度hBN結晶の育成が可能であったバリウム系ホウ窒化物溶媒は極めて反応性が高く、常圧下での扱いが困難であった。今回、高圧下で種々の溶媒を吟味・探索したところ、化学的に安定な金属系溶媒によりバンド端発光挙動(波長215nmの自由励起子発光)を呈する高純度hBN結晶の合成が成され、さらに常圧下においても同様の溶媒効果が確認された。これは高純度hBN結晶の常圧下液相成長法による大量合成、大面積化に向けた大きな一歩といえる。
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Research Products
(7 results)