2005 Fiscal Year Annual Research Report
鉄系ポリアニオン化合物の電子構造と電気化学的トポケミカル反応の電子論的解明
Project/Area Number |
16350109
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内本 喜晴 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教授 (50193909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 巌 大阪府立大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (50028239)
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Keywords | リチウム電池 / 電子構造 / X線吸収 / セラミックス / エネルギー効率化 / 表面・界面物性 |
Research Abstract |
従来の二次電池に比べて格段に高エネルギー密度な電池として、リチウムイオン二次電池は実用化され様々な用途での展開が考えられている。現在正極として用いられている資源的に希少で高価なコバルト酸化物に置き換わる新規な活物質が必要である。次世代正極活物質として鉄系のオリビン型リン酸化物が注目されている。現在、この化合物の電気化学的トポケミカル反応時の電子構造変化、拡散に大きな影響を及ぼす遷移金属周囲の局所構造変化は不明であり、材料設計上の問題となっている。また、この化合物は、非常に少量の多価イオンのドープによって飛躍的に電子導電率が向上することが報告されているがその発現機構の詳細も不明である。本研究は、これらの問題に対して、X線吸収微細構造による実験的アプローチと第一原理計算による理論的アプローチを用いて電子論的に解明し、電気化学特性にデータを合わせて総合的に判断して材料設計指針を確立し、それを基に高エネルギー密度、高出力密度を有する新規正極材料を開発することを目的としている。前年度に引き続き、鉄系化合物についての検討を継続した。オリビン型構造のLiFeP04を固相反応で合成し、シンクロトロン放射光を用いたXAFS測定を、電気化学的にリチウムを所定量脱離もしくは挿入させた試料について、FeのL殻、PのK殻および酸素のK殻のX線吸収微細構造を測定した。この際、試料調整時に空気及び水の影響が大きいためにグローブボックスを購入した。得られたX線吸収スペクトル(XAS)変化を、解板した結果、酸化物の場合と異なり、Fe 3d電子がよりローカライズしていると従来考えられていたが、リチウムイオンの挿入脱理事に酸素2p軌道の寄与が大きいことを初めて見出した。これは、リチウムイオンのクーロン場の影響と考えられる。
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