2006 Fiscal Year Annual Research Report
レーザによるガラスのナノ局所構造制御と光子伝達型フォトニック回路の創製
Project/Area Number |
16350111
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤原 巧 東北大学, 大学院工学研究科, 教授 (10278393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紅野 安彦 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (90283035)
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Keywords | ナノ結晶化ガラス / レーザー誘起結晶化 / ナノ局所構造制御 / 光非線形性 / フォトニック回路 / 光触媒 / ランダムレーザー |
Research Abstract |
これまでに、ナノ結晶化を呈するガラス系において、紫外レーザー光照射により2次光非線形性を有するナノサイズの結晶/粒子が生成されることを初めて明らかにし、さらにそれらナノ結晶/粒子を極めて簡便・低コストな方法により、ナノ結晶子の緻密化・均一化や規則周期的に1次元/2次元配列構造として形成する新しいレーザプロセス法を開発してきた。このナノ結晶粒子の緻密および規則構造を、光触媒用の比表面積増大やランダムレーザーの形成、さらにはナノ粒子間における近接場光の伝搬を基本原理として、信号を伝達する光子伝達型の光回路として利用することが可能となる。 平成19年度における特筆すべき成果として、酸化チタンを選択的に形成するナノ結晶化ガラスの開発に成功した点を第一に挙げることができる。ガラスに含まれる酸化チタンは、酸化チタンが核となり各種の結晶相を生成させる核形成剤となることが従来の常識であった。我々が偶然見出した新しいガラス系においては、熱処理条件によって酸化チタン(ルチルおよびアナターゼ)のみが選択的に結晶化されることを発見した。この酸化チタンは、粒径約10nm程度のナノ結晶子としてガラス中に分布していることが電子顕微鏡観察によって確認され、酸化チタン・ナノ結晶化ガラスの開発に世界で初めて成功した。さらに、レーザー結晶法による結晶化挙動の時間的制御によって、基板表面に緻密で径分散の小さいナノ粒子構造を形成可能であることを示した。 今回得られた酸化チタン・ナノ結晶化ガラスは、可視域においても透明性を有しており、ガラスとの大きな屈折率差を有する粒子を含有する結晶化ガラスが一般には不透明であることを考慮すると、極めて特異な材料でり、透明な光触媒ガラスや強光散乱によるランダムレーザー、光子閉じ込め光回路など、従来は困難とされていた応用展開を可能とする新規高機能材料である。
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Research Products
(8 results)