2005 Fiscal Year Annual Research Report
IV族半導体原子層制御による電子帯変調と量子トンネル構造形成
Project/Area Number |
16360002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
櫻庭 政夫 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (30271993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室田 淳一 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (70182144)
竹廣 忍 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (70344736)
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Keywords | IV族半導体 / 原子層制御 / 電子帯変調 / 量子トンネル構造 / 共鳴トンネル / エピタキシャル成長 / CVD / 局所歪 |
Research Abstract |
本基盤研究では、原子層制御法を用いてIV族半導体結晶中への異種元素原子層の導入を行い、電子帯変調を調べるとともに共鳴トンネルダイオード等の量子トンネル構造を形成することを目的とする。そして、その電気・光学特性評価結果から量子トンネル構造中でのキャリア輸送・生成・再結合過程を解明し、電子帯変調による新規半導体物性の創生を行う。本年度はその第2年目として、表面異種原子層が拡散・凝集しないような表面反応制御方法について検討を行い、B_2H_6ボンベ中の希釈ガスがH_2の場合にB原子層形成制御が可能になることを明らかにした。また、キャッピングSi成長時の原料ガスとしてSiH_4の代わりに反応性の高いSi_2H_6を用いることにより、P原子層の表面偏析現象は効果的に抑制できることを明らかにした。これらはナノメータオーダのpn接合形成のための重要な知見である。さらに、歪Si_<1-x>Ge_x/Siヘテロ構造を用いたp型共鳴トンネルダイオードを試作した結果、共鳴トンネルが起こるバイアス電圧の量子井戸幅依存性は、Si_<1-x>Ge_xの有効質量を用いた計算値と良い一致を示すとともに、障壁幅を2nmまで薄くしても再現性に優れる高電流密度の負性抵抗特性が表れることを見いだした。また、電流値が電極コンタクト面積に比例することから、側壁や局在欠陥を介した伝導が生じない均一な共鳴トンネル構造の形成に成功したことを明らかにした。これは、今後、原子層ドーピングや歪によるトンネル特性への影響を抽出するために極めて重要である。また、低エネルギーArプラズマ照射によるGeH_4やSiH_4反応により、基板非加熱下での高平坦歪緩和Ge上へのナノオーダ高度歪Siエピタキシャル成長制御を実現し、高度歪導入IV族半導体ヘテロ構造形成の可能性を示した。以上のように、電子帯変調による新規半導体物性の創生において重要な成果を得た。
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Research Products
(7 results)