Research Abstract |
本研究では,内外力や熱による機械の変形を補正するために,工作物を搭載する定盤とツールの間の相対的な6自由度運動を受動的なパラレルメカニズムを利用して正確に計測し,機械の運動を補正・制御する手法を提案している. 本年度は,受動的なパラレルメカニズムに用いる,両端に球面ジョイント,中間に直動ジョイントを配した連結連鎖を試作,さらにその性能を評価した.直動ジョイントの変位は内蔵のリニアスケールユニットを用いて測定する.さらに,球面ジョイントの弾性変形,回転誤差,リンクの弾性変形,熱的変形を補正する装置を組み込んだ. まず,組み立てた連結連鎖をインデックステーブル上のテストベッドに設置し,使用予定範囲である水平から40度から60度の範囲で揺動させた.両端の球面ジョイント間の距離は固定であるから,リニアスケールの読みは理想的には変化がないことが望ましい.測定の結果,揺動範囲で約0.24μmとなった. 次に,テストベッド上の連結連鎖の温度を2,3度上昇させ,その時のリニアスケールの読みの変化を計測した.テストベッドは低熱膨張材料で製作されているため,原理上読みの変動は少ないことが望ましい.計測の結果,リンクの平均温度が2.38°上昇した際に読みの変化は1.53μm程度であり,連結連鎖の等価熱膨張係数は1.21ppm/Kと見積もられる.以上から,±0.16°程度に制御された恒温室を用いれば,装置の熱変形を0.1μm以下にできることがわかった.
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