2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ超微粒子の摩擦焼結による独創的トライボ膜の創製
Project/Area Number |
16360082
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Research Institution | Fukui National College of Technology |
Principal Investigator |
加藤 寛敬 福井工業高等専門学校, 機械工学科, 助教授 (30311020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安丸 尚樹 福井工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (90158006)
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Keywords | ナノ粒子 / 摩擦焼結 / トライボ膜 / 金属酸化物 / トライボロジー / ピンオンディスク / 雰囲気制御 |
Research Abstract |
2年目である本年度は、雰囲気制御ピンオンディスク摩擦摩耗試験機を用いて、鋼の摩擦面に数10nmの酸化物ナノ超微粒子を供給し、雰囲気を大気中、Arガス中、真空中の3種類に変えて実験を行い、雰囲気と酸化物粒子供給が及ぼす表面膜(トライボ膜)の生成への影響を明らかにした。さらに、大気中または真空中でナノ粒子を供給することにより生成した表面膜(トライボ膜)の摩擦摩耗特性を大気中で調べた。 その結果、Bi_2O_3粒子を大気中で供給した場合の摩擦面には、生成面積率は小さいが何層にも重なった厚いトライボ膜が観察された。また、真空中で酸化物ナノ粒子を供給した試験では、大気中で酸化物ナノ粒子を供給した摩擦面よりも、滑らかで緻密なトライボ膜が生成していた。大気中で酸化物ナノ粒子を供給してピンに生成したトライボ膜の摩擦摩耗試験では、CoO→CuO→Fe_2O_3→SnO_2→Bi_2O_3粒子の順に、粒子を供給しなかった場合の試験片に比べて摩耗が低減された。しかし、試験前に生成していたピンのトライボ膜は、摩耗により消滅してしまい、試験途中からシビア摩耗になった。一方、トライボ膜同士を摩擦摩耗させた場合の試験では、どの粒子のトライボ膜もマイルド摩耗になり、CuO→Fe_2O_3→Bi_2O_3の順に摩耗が低減した。これらのことから、Bi_2O_3粒子を供給して生成したトライボ膜がトライボロジー特性に最も優れていることがわかった。さらに、真空中でCu金属粒子を供給して生成したトライボ膜は、大気中において優れた摩擦摩耗特性を示し、トライボ膜がない場合と比べて大幅に摩耗が低減された。とくに、細かい50nmのCu粒子によるトライボ膜は、1,mのCu粒子によるトライボ膜と比べて耐久性・耐摩耗性に優れていた。 以上まとめると、ナノ粒子を供給して生成したトライボ膜は、トライボ膜が無い場合と比べて摩擦摩耗特性を飛躍的に向上させることがわかった。今後は最適なトライボ膜生成条件について詳細に調査する予定である。
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Research Products
(2 results)