2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16360086
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
花崎 秀史 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60189579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮嵜 武 電気通信大学, 電気通信学研究科, 教授 (50142097)
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Keywords | 乱流 / 成層 / 回転 / 二重拡散 / 熱輸送 / スカラー輸送 |
Research Abstract |
熱(F_T=-w'T')と塩分(F_S=-w'S')の鉛直フラックスの時間発展を調べた。その結果、初期(t>0)には、F_S、F_T共に正(順勾配拡散)であり、両者はほぼ一致しており、浮力振動の1/4周期を過ぎると順勾配拡散が弱まり、1/2周期の時刻で逆勾配拡散に転じ、その後も時間的に振動する。振動の周期はおよそπ/Nである。また、3<Nt<6付近でF_SとF_Tの差が大きくなり、分子拡散係数の小さい塩分の方が強い逆勾配拡散(F_S<0)を示す。実際の海洋では、時間平均した値が時の差が重要となると考えられる。そこで、時間平均を取った拡散比d(F_SとF_Tの比)の1からのずれを見ることで、塩分フラックスと熱フラックスの差を見ることができる。 拡散比dの値のグラスホフ数Gr=Nl^2/v依存性は、実験結果とよい一致を示す。dの値はまた、グラスホフ数Grあるいは浮力レイノルズ数Re_b=ε/vN^2の増加につれて増加するが、十分GrあるいはRe_bが大きい場合にはd=1に近づく。すなわち、塩分によるフラックスと熱によるフラックスが等しくなる。RDTの結果と実験の結果はGr=7ε/vN^2=7Re_bの場合によく一致するが、これは実はRDTの成立条件とも整合している。また、RDTの結果は、S_<CT>=7,S_<CS>=700の場合の方が、S_<CT>=7,S_<CS>=70の時よりも大きいdifferential diffusion(dが小さい)を示している。これは過去の2次元数値シミュレーションの結果とほぼ一致する。 以上のことから、海洋内部の乱流強度が弱く成層効果が強い領域に対しては、実現象では間欠的に拡散係数が負になってしまう渦拡散を用いるモデル(実際に使われている海洋モデルでは、渦拡散係数は時間的に一定(>0)であるのでそれによる誤差が生じる)に比してRDTによる解が有効であることが予想される。
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Research Products
(6 results)