Research Abstract |
局所的に光エネルギを集中させると,分子が原子になり,さらにイオン化されプラズマ状態になる.プラズマ中のラジカル類が着火源となり,可燃混合気であれば燃焼反応へと移行する.このプラズマ領域内を詳細分光スペクトル計測ならびにフレーミングカメラによりナノ秒オーダでの可視化を行った.これにより,次のことが分かった.(1)ブレイクダウン初期には,焦点位置よりレーザ側でブレイクダウンが発生する.このブレイクダウンの伝播速度は10km/sを超えるものであった.(2)レーザ照射から100nsまでは,制動放射が見られている.100-1000nsの期間では,イオン化が活発に行われ,1000ns以降では,原子スペクトルが顕著に現れている.(3)酸素原子スペクトルよりプラズマ温度の算出を試みた.プラズマ周囲からの冷却によりプラズマ温度が低下していく様子が分かった.(4)プラズマ冷却時において,原子スペクトルからH-C/O,H-C/Nなどの比率を取ると半量比依存性が確認できた.この依存性は,火炎内でも火炎がない場合でも確認でき,当量比計測の可能性を示した. また,着火の際に生じるプラズマ衝撃波と火炎との干渉を詳細に調べた.プラズマ生成直後の初期衝撃波伝播速度は600〜800m/sの超音速であり,その後5μs程度経過すると,伝播速度は急激に減衰し,340m/S程度の音速に収束することが確認できた.層流予混合火炎の火炎帯付近でレーザ誘起プラズマを生成すると,火炎帯が伸張することが確認できた.また,プラズマ生成位置,レーザ入射エネルギを変化させると,伸張の仕方も様々であることがわかった. 火炎保持部での詳細分光スペクトル計測を行うことで,火炎保持部での当量比・温度変化を把握することができた.火炎保持部では,当量比は希薄になり,温度も低下していることが分かった.さらに,数種類の発振周波数を持つレーザを用い,火炎保持部でのパルス的なレーザ着火による火炎保持特性を調べた.
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