2005 Fiscal Year Annual Research Report
ぜんどう運動型光応答性フレキシブルナノアクチュエーターの開発
Project/Area Number |
16360120
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
渡辺 敏行 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 教授 (10210923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 英光 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50282827)
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Keywords | 光応答性アクチュエーター / ゲル / 走光性 / ぜんどう運動 / 走査型顕微動的光散乱 / 網目サイズ / イオン性液体 |
Research Abstract |
剛直な主鎖骨格に光応答性部位である、アゾベンゼンを導入したポリアミド酸ゲルあるいはポリイミドゲルを合成した。ジメチルフォルムアミド(DMF)中で膨潤している直径200ミクロンのロッド状ゲルに440nmのブルーレーザーを照射すると、光異性化が起きて、光を吸収した表面のみがアゾベンゼンの光異性化により体積収縮を起こすため、ゲルは光照射方向へ直角に曲がった。このような走光性は5秒以内に完了した。 この時、ゲルの網目サイズは2.3nmから0.8nmへ変化することが走査型顕微動的光散乱測定により明らかになった。また、レオメーターによる拈弾性測定により、光照射前のゲルの弾性率は37kPaであるが、光照射後は80kPaになることが明らかになった。これはゲル中に存在する潜在的なエンタングルメントが、光照射による主鎖の屈曲により顕在化したためであることが、ゴム弾性理論より明らかになった。 このゲルの光照射時に発生する力をガラスキャピラリーで測定した所、nN程度の値であることが明らかになった。 また、このゲルをマイクロシリンジ中で合成した所、チューブ状のゲルが合成できた。440nmの光をチューブの周囲から照射し、チューブに沿ってスキャンし、その後500nmの光で同様な操作を行うことによりぜん動運動を行う新奇アクチュエーターを作製した。 このアクチュエーターはDMFなどの極性溶媒中でのみしか作動しなかった。アクチュエーターを溶媒から取り出すと、溶媒が蒸発し、ゲルが収縮してしまうために大気中では利用できなかった。この問題点を克服するために、不揮発性の溶媒であるイオン性液体でDMF溶媒を置換したゲルを作製した。その結果、大気中でも光化学反応を示す光応答性アクチューターが開発できた。
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Research Products
(7 results)