Research Abstract |
本研究では,パルスコロナ放電により帯電させた粉体粒子を風速16〜30m/sの気流に乗せて噴出し,帯電粒子電荷雲の形成状態,電荷量,および電荷雲周囲の電界の強さの測定から帯電粒子雲の挙動を調べた。噴出速度16m/sで粉体を噴出した場合は,粉体粒子が帯電装置を通過する際に放電に曝される回数が多いため,粉体の帯電電荷量を増加できるが,強く帯電した粉体同士の静電反撥力の影響による粉体の飛散や,周囲の接地体への付着により,高い電荷密度をもった電荷雲を形成できない。噴出速度30m/sで粉体を噴出した場合は,粉体が飛散せず,高い電荷密度の電荷雲が形成でき,電荷雲周囲の電界の強さも増加することが明らかになった。また,形成した電荷雲と接地球電極との間で放電を起こし,その電流波形と放電発光様相から,空間電荷放電の特性を調べた。放電の規模を拡大させるために,接地球電極と電荷雲との距離,電極径および形状を変化させ放電を観測した。接地球電極を電荷雲から離すにつれて放電路長は長くなる傾向があり,電荷雲と接地球電極との距離が0.7〜1m程度の時にもっとも大きな放電を実現できた。そのときの放電の規模は65cm程度であり,放電電流の大きさは4A程度である。放電電流波形の測定より,放電毎に電流のピーク,立ち上がり,放電電荷量および持続時間等に様々な特徴が見られた。特に放電電荷量は放電持続時間と強い相関関係が見られ,電流波高値は電流峻度と強い相関関係が見られた。また,放電の発光領域と放電電流波形の関係を調べた結果,放電路長と放電電荷量および電流波高値には明確な関係は見られないが,放電の拡がり幅と放電電荷量には強い相関関係が見られた。これは放電が拡がることで電荷雲の広範囲の電荷を中和できたためである。放電波形の違いは,放電の進展に大きな影響を及ぼしていると考えられる。
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