Research Abstract |
非平衡プラズマMHD発電は,熱回収を伴うMHD単独発電システムや燃料電池との複合発電システムを構築することで,総合効率が60%を越える超高効率発電となることが最近の詳細な数値シミュレーションにより示されているが,実験室規模の実験においては,超高効率発電システムを見据えた発電機開発の高効率化ロードマップに整合する発電性能を実証し,将来の大型化,更なる高効率化を目指す上での確実な実績を得ることが必要不可欠である。 そこで,本研究では,超高効率発電システムを見据えた発電機開発の高効率化ロードマップに整合する性能を有する「高等エントロピー効率(低損失)の発電機」の開発を目指し,その発電機が備えるべき要件を実験的に明らかにすることを目的とする。この目的を達成するために,本研究では,(1)発電機形状の最適化(流体力学的散逸の低減),(2)強磁界印加による性能向上(電気的散逸の低減),(3)高周波電磁界印加によるプラズマ制御(プラズマ不安定性の抑制),(4)数値シミュレーションによる性能評価とその実験へのフィードバックを有機的に組み合わせることにより,総合的に損失の低減化を試み,等エントロピー効率の向上を図る。特に,上記(2),(3)は,本研究の極めて独創的な着眼点であり,それらの相乗効果を利用して本研究の目的を達成しようとするものである。 本年度(平成16年度)は,当初の計画通り,高効率化ロードマップに則した「エンタルピー抽出率に対する等エントロピー効率の割合」が得られることを確認するとともに,高磁束密度利用によるMHD発電機の性能向上実験を行った。具体的には,衝撃波管駆動ディスク形MHD発電機に超電導電磁石による高磁束密度(B>4T)を印加し,従来以上の高出密度化を実証するとともに,印加磁束密度の増加に起因する発電効率(電気変換効率)の向上を示唆する結果を得ることができた。ただし運転条件の最適化に関して課題が残されており,運転条件によっては,非平衡プラズマの生成・維持状態に起因して発電性能の劣化が観測された。 以上の成果は,ある意味で想定された結果となっており,上記(2)強磁界印加による電気的散逸の低減と(3)高周波電磁界印加によるプラズマ不安定性の抑制の相乗効果を利用して目的を達成しようとする本研究の中心となる来年度研究の確実な基盤を築いたといえる。
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