Research Abstract |
本研究では,非平衡プラズマMHD発電において,超高効率発電システムを見据えた発電機開発の高効率化ロードマップに整合する性能を有する「高等エントロピー効率(低損失)の発電機」の開発を目指し,その発電機が備えるべき要件を実験的に明らかにすることを目的としている。この目的を達成するために,(1)発電機形状の最適化(流体力学的散逸の低減),(2)強磁界印加による性能向上(電気的散逸の低減),(3)高周波電磁界印加によるプラズマ制御(プラズマ不安定性の抑制)を有機的に組み合わせることにより,総合的に損失の低減化を試み,等エントロピー効率の向上を図る。特に,上記(2),(3)は,本研究の極めて独創的な着眼点であり,それらの相乗効果を利用して本研究の目的を達成しようとするものである。 初年度(平成16年度)は,与えられた発電機形状に対して「エンタルピー抽出率に対する等エントロピー効率の割合」が得られることを確認するとともに,高磁束密度利用によるMHD発電機の性能向上実験を行った。その結果,従来以上の高出密度化を実証するとともに,印加磁束密度の増加による発電効率(電気変換効率)の向上を示唆する結果を得ることができた。 引き続く今年度(平成17年度)は,初年度の実績を受け,さらに高い等エントロピー効率の実現を目指した発電機を新たに設計・製作し,超電導電磁石を有する衝撃波管駆動装置に組み込み,実験を行った。その結果,高効率化ロードマップに完全に則した「エンタルピー抽出率に対する等エントロピー効率の割合」の実証が確実に可能であること,また条件の最適化や高周波電磁界印加により更なる向上が期待できることを明らかにした。 以上の成果は,上記(2)強磁界印加による電気的散逸の低減と(3)高周波電磁界印加によるプラズマ不安定性の抑制の相乗効果を利用して目的を達成しようとする本研究の最終段階となる来年度(最終年度)研究の確実な基盤を築いたといえる。
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